2012 Fiscal Year Research-status Report
fMRIを用いた中枢神経における急性痛の発現機構の解明
Project/Area Number |
24791585
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹村 佳記 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (70624922)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | fMRI / 急性痛 / 疼痛制御機構 |
Research Abstract |
臨床現場では多くの患者が慢性痛に悩んでおり、その治療方法について日々検討している。その一つとして、急性痛から慢性痛への移行を予防することが非常に重要である。我々はfMRIを用い、慢性痛治療の手がかりとなる中枢神経における急性痛の発現機構の解明を目的としている。2012年度は急性膵炎に伴う疼痛(特に関連痛)の発現機構について検討した。 セルレインの反復投与により急性膵炎モデルマウスを作製し、血液検査、生化学的検査、組織学的検査、画像検査やin vivo試験を通して膵臓の傷害やその炎症ならびに腹痛が生じていることを確認した。その後、fMRIを用いて、痛みに関与する領域 pain matrix を中心に脳内活性を検討した。 本モデルマウスが急性膵炎を反映することが明らかとなった。これを用いてfMRIで検討したところ、慢性疼痛モデル(神経障害性疼痛モデルでは、視床内側領域や視床外側領域、さらには各々の上位に位置する帯状回や第一次体性感覚野領域において脳内活性が有意に上昇している)とは異なり、運動野や側坐核での脳内活性化が認められた。 以上より、急性膵炎モデルの疼痛発現機構は慢性疼痛モデルと比べて中枢性経路で異なる可能性が示唆された。今後、臨床で疼痛管理をする際に、先攻鎮痛などよりターゲットを絞った治療へと繋がる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、前半は研究機関である星薬科大学薬理学教室へ行く機会ならびに時間があまり取れなかったため、本研究の達成度がやや遅れてしまった。しかし、後半から時間が確保できるようになったため、次年度は本年度よりも研究が進むと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、本年度施行予定であった研究内容をまず最初に進め、その後、当初から計画していた急性痛の中でも異なった痛み(関連痛以外の体性痛など)による疼痛発現機構の違いなどについてもfMRIを用いて検討する予定である。 また、fMRIを用いて、全身麻酔下における手術中に生じる急性痛の有無ならびにその際の疼痛発現機構を検討する予定である。これにより、術中の疼痛管理がいかに重要かなども発信できるのではないかと思われる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
<本年度の研究費に繰越金が生じた理由> 本年度の前半は研究機関である星薬科大学薬理学教室へ行く機会ならびに時間があまり取れなかったため、研究費の使用機会が減ってしまった。そのため、実験用動物費や薬品費、旅費の使用額が減ってしまった。 <次年度の研究費の使用計画> 本年度の後半から研究が進み始めたため、次年度は研究にかける時間が増える予定である。そのため、消耗品費ならびに旅費が本年度よりも必要となり、下記のように使用する予定である。 平成25年度の研究費限度額は、計1603千円(平成25年度分 900千円+繰り越し分 703千円)となる。従って、消耗品費で950千円(実験用動物 150千円、薬品 400千円、実験道具 300千円、情報処理機器 100千円)、旅費で650千円(資料収集旅費 350千円、研究打ち合わせ旅費 300千円)、すなわち計 1600千円使用する予定である。
|