2013 Fiscal Year Annual Research Report
虚血再灌流傷害に対する吸入麻酔薬の心筋保護作用に関わる分子基盤の解明
Project/Area Number |
24791590
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小嶋 亜希子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50447877)
|
Keywords | 吸入麻酔薬 / 心筋虚血再灌流傷害 / Ca2+輸送タンパク質 |
Research Abstract |
我々は虚血再灌流傷害を想定して、虚血再灌流時に発生する細胞内Ca2+制御機構の異常に起因した細胞傷害モデルであるオキシゲンパラドックス(過酸化水素(H2O2)による傷害)、Ca2+パラドックス(筋小胞体内Ca2+枯渇による傷害)を新たに考案して、臨床使用濃度の吸入麻酔薬セボフルランの心筋保護効果を検討した。セボフルランのCa2+輸送タンパク質に対する作用を解析するために、マウス心室筋細胞での、共焦点レーザ顕微鏡下のCa2+イメージング法による細胞質内と筋小胞体内のCa2+濃度の計測と、パッチクランプ法によるCa2+輸送タンパク質を通るCa2+電流の計測を行った。 その結果、セボフルランは筋小胞体リアノジン受容体やNa+/Ca2+交換体、TRPC (transient receptor potential canonical) チャネルといった複数のCa2+輸送タンパク質をブロックすることにより、心筋保護効果を発揮することを明らかにした。これらの結果は論文発表で報告している。 そこで現在は、このセボフルランの心筋保護メカニズムを応用し、新規の心筋保護法を構築することを目指している。摘出心臓を対象に虚血再灌流実験を行い、これらのCa2+輸送タンパク質(リアノジン受容体やTRPCチャネル)の関与を検討している。吸入麻酔薬と同様に、これらのCa2+輸送タンパク質の阻害薬は虚血再灌流後の心機能を有意に改善させることを確認している。
|
Research Products
(8 results)