2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミダゾラムの樹状細胞に体する抑制作用の免疫応答への影響
Project/Area Number |
24791591
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高山 千尋 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90403253)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / トランスジェニックマウス / 免疫アジュバント / テトラマー |
Research Abstract |
(1)免疫応答の高感度検出系の確立 鶏卵白アルブミン(OVA)に対するT細胞受容体を高発現するトランスジェニックマウスを購入しこれを繁殖させた。このトランスジェニックマウスより採取したT細胞を通常マウスに移植する。このマウスに対してOVAと免疫アジュバントで免疫するトランスジェニックマウスに成立してくる免疫応答をOVAに対するテトラマー(主要組織適合抗原複合体の4量体)を用いてフローサイトメトリーによって検出する系を確立した。 (2)樹状細胞を用いた免疫プロトコールの確立 骨髄に由来する樹状細胞をマウス骨髄からGM-CSFによって誘導し、この樹状細胞にモデル抗原を取り込ませたのちLPSで刺激して動物に投与する。この樹状細胞の投与を1週間の間隔で2回行いマウスを免疫する。現段階では(1)の高感度の検出系による解析はまだであるが、IFN-γに対するELISPOT法を用いた検討によりこの免疫法でモデル抗原に対する免疫は成立していることが確認された。 (3)上に示した新しい解析系の確立に加えて鎮静薬であるミダゾラムが骨髄に由来する樹状細胞に対して与える影響を詳細に解析し、さらに樹状細胞によって引き起こされる個体レベルでの免疫応答にミダゾラムは影響しうることを示した。さらにミダゾラムの樹状細胞に対する作用はGABA系を介したものではなく、末梢性ベンゾジアゼピン受容体のシグナル伝達を介したものであることを示唆する結果を得た。 (4)敗血症が粘膜免疫応答に与える影響を解析した。マウスに敗血症を腹膜炎により誘導される敗血症を誘導する。このマウスにコレラ毒素をアジュバントとしてモデル抗原(鶏卵白アルブミン)を鼻腔粘膜に投与して系粘膜免疫を行った。誘導されてくる免疫応答は脾臓とリンパ節に誘導されてくるOVA特異的T細胞をOVAに対する主要組織適応抗原4量体(OVAテトラマー)を用いて検出した。敗血症を誘導しない偽手術を受けたマウスでは粘膜免疫応答が通常通り誘導されたのに対して、敗血症を誘導したマウスでは粘膜免疫応答の誘導は低下していた。この結果から敗血症によって粘膜免疫応答が低下することが示された。
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