2013 Fiscal Year Research-status Report
四肢虚血リモートプレコンディショニングによる脳虚血耐性機序の解明
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24791596
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山下 理 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20610885)
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Keywords | リモートプレコンディショニング / 虚血耐性 / MCAO / ターニケット / レーザードップラー血流計 |
Research Abstract |
Wistarラットでの中大脳動脈閉塞(MCAO: middle cerebral artery occlusion)2hr虚血モデルを確立し、脳梗塞体積や神経学的評価の検討においても安定した結果を得ることができるようになった。MCAO自体比較的ばらつきの大きなモデルであるが、本実験においてはシリコンコーティングしたナイロン糸を挿入して虚血とする際にレーザードップラー血流計を頭部に装着して脳血流をモニターすることで実際に血流が落ちていることを確認している。ただし一定の割合でナイロン糸を挿入しても血流が低下しない場合も認められ、ナイロン糸の迷入によるものかそのラットの個体の側副血行によるものか、あるいはprobeの当て方など他に原因があるのか判断の難しいところである。ただ低下しなかった場合はきちんと梗塞ができていない場合が多く、そのラットは除外して比較実験を行っていくのか現在検討中である。 四肢虚血の方法に関してはなるべく侵襲の少ない方法かつ実際に臨床応用に即した形を考え、直接大腿動脈を遮断するのではなく、hard typeのvascular occluderを使用して体表部から虚血を行う、いわゆるターニケットによる血流遮断の方法とした。きちんと虚血となっているかどうかは閉塞した下肢に動物用の経皮的酸素飽和度プローベを装着し、脈波が消失することで確認した。 プレコンディショニングの条件としてはこれまでの報告やパイロットスタディから2hr虚血前に右大腿部をターニケットで5分遮断+5分再灌流を5回施行することとした。 H26年度はMCAOのみを施行した群と四肢虚血リモートプレコンディショニング+MCAO群に分けて本格的に比較対象実験を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MCAO虚血モデルは確立することができたが、まだ本格的な比較対象実験は行えておらず、当初考えていたその機序の解明につながる部分までの検討に至っていない。ただモデルとプレコンディショニングの条件付けはできているので、今後解析はスムーズに施行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初考えていたよりも四肢虚血によるリモートプレコンディショニングは比較的神経保護効果が弱い可能性が考えられた。動物実験では使用する吸入麻酔薬などによる神経保護効果も無視できないため、ナイロン糸を挿入して虚血とした後は閉創して一旦ラットを覚醒・抜管して2hr後に再度全身麻酔をかけてナイロン糸を抜去するいわゆるawakeによる虚血を行っている。 虚血耐性にはプレコンディショニングの負荷から数時間以内に生じる早期プレコンディショニングと24時間以降に生じるdelayedプレコンディショニングという概念がある。近年ではその他にもperconditioningやpost conditioningも報告されているが、これまで早期プレコンディショニングでの報告は少ない。リモートプレコンディショニングは効果としては早期に発現する可能性が高いため、本研究では早期プレコンディショニングに焦点を当てて神経保護効果、その持続期間などを検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要実験器具の購入が当初の予想より低価格となったため、また今年度は学会参加などに伴う旅費や人件費・謝金などが発生しなかったことが理由として挙げられる。 次年度使用額は370,738円である。実験を実施するための実験試薬やラットの購入・飼育費、学会参加や発表の経費として使用する予定である。
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