2014 Fiscal Year Annual Research Report
四肢虚血リモートプレコンディショニングによる脳虚血耐性機序の解明
Project/Area Number |
24791596
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山下 理 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20610885)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リモートプレコンディショニング / 四肢虚血 / early phase / MCAO / 長期間保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
四肢虚血リモートプレコンディショニング(remote preconditioning:RPC)は短時間の四肢虚血を繰り返し施行することで離れた臓器の虚血耐性を誘導する。これまで主に心臓において有効性を示唆する多くの基礎・臨床研究があるが、脳・脊髄などの中枢神経系では報告は少ない。プレコンディショニング反応は数時間持続するearly phaseと開始は遅いが長期間、2-3日間持続するdelayed phaseに分かれこの2つのphaseは異なるメカニズムによって保護効果を発揮すると考えられており、early phaseではイオンチャンネルの透過性や局所ホルモン、アデノシンやNO、ブラジキニンなどの放出を伴うタンパク質の翻訳後修飾に影響し、delayed phaseは血管内皮状態、止血、免疫反応や細胞のエネルギー代謝などを含む遺伝子発現やタンパク質新生が関与するとされている。early phaseでは保護効果が小さく効果を認めても一時的で、その長期間の効果は明らかでない。 今回ラットの一過性脳局所モデル(middle cerebral artery occlusion:MCAO)モデルを用いて虚血後7日間にわたる下肢RPCのearly phaseにおける神経保護効果について神経学的・組織学的に検討した。下肢虚血はターニケットによる10分間の虚血・5分間の再潅流のサイクルを3回施行し、1時間後に2時間のMCAOを行った。虚血後1、3、7日目の神経学的評価と虚血7日目に潅流固定し脳梗塞体積を算出した。 RPC群では虚血のみのコントロール群と比較して有意に脳梗塞体積の減少と神経学的スコアの改善を認めた。この効果は虚血後7日間まで持続した。 保護効果はプレコンディショニング虚血の時間・回数、その後の虚血までの時間間隔によって大きく変わりうることが示唆された。詳細な機序の解明までは至らず、今後の検討課題であるが、ターニケットを用いた下肢虚血RPCによる有意な神経保護効果が今回の研究で認められた。
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Research Products
(1 results)