2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791597
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
廣瀬 佳代 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 徳島大学特別研究員 (40532221)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺線維症 / フォスフォジエステラーゼ |
Research Abstract |
特発性肺線維症(IPF)は、慢性進行性、原因不明の肺疾患であり、一部の症例で肺高血圧症を合併する。その機序は肺実質障害に伴う細動脈・毛細血管の圧排、閉塞および低酸素性肺血管攣縮と考えられている。 近年、IPFと同じく肺高血圧を呈する肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対してフォスフォジエステラーゼ(PDE)5阻害薬の有効性が報告された(Galie N et al. N Engl J Med 2005; 353: 2148-57)。PAHは、1990年代前半には、確定診断からの平均生存期間が3年という、予後不良の疾患であったが、いくつかの有効な治療法が確立され、予後が飛躍的に改善されてきた。PAHとIPFは異なる疾患ではあるが、共通する病態も多く存在する。数多くの基礎研究、臨床研究が試みられているにもかかわらず、肺線維症にたいする有効な治療法は明らかにされておらず、古から現在に至るまで、ステロイド療法が唯一の治療法である。 実験計画は、対象患者から肺組織を手術により摘出したのち、健常肺とIPF肺の組織における代表的なPDEファミリーのタンパク発現を見、発現の増強が認められたPDEの肺組織における局在を特定することである。それに先だって、ヒトを対象をする研究であるため、協力施設それぞれにおいて倫理委員会の承認を受ける必要がある。 申請者は、所属する独立行政法人国立病院機構高知病院において二回の倫理委員会申請(不承認)、徳島大学病院において倫理委員会承認を受け、症例の蓄積を行っている。また、高知大学の麻酔科・呼吸器外科からも研究協力が得られることが決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の所属する独立行政法人国立病院機構高知病院は呼吸器疾患を多く取り扱う病院であり、肺手術が多く、当初、この施設での検体収集を予定していた。 2011年の1回目の倫理委員会で、若手研究Bの内容で申請したが、当病院で取り扱いできるレベルの倫理審査ではないため、上位組織である徳島大学病院の倫理委員会の審査を通過すれば、当院でも研究協力行う旨の返答を得た。そのため、徳島大学病院の麻酔科・呼吸器外科・呼吸器内科の研究協力を取り付け、倫理委員会承認を受けた。しかし、2012年の高知病院倫理委員会では、肺線維症の症例から得られた生検検体を一部研究に使用することは倫理に反するとされ、不承認とされた。肺癌症例より摘出された組織の一部を研究に使用することは倫理的に問題ないという議論が、文書に記載されているわけではないが、口頭で行われたため、次回、2013年の倫理委員会では、肺癌合併間質性肺炎(肺線維症を含める)において検体使用を行う内容で倫理委員会の審査を受けたいと考えている。 徳島大学病院でも検体の収集を行っているが、対象が稀な疾患であるため、症例の収集は難航している。そして、稀な疾患であること、検体の取得が手術によってのみ行われることが、これまで治療に関する研究が進まなかった所以である。ステロイドのみが主な治療薬として用いられている現状を少しでも改善するためには、時間がかかったとしても、地道に症例を蓄積し、一つ一つのメカニズムを紐解いていくことが肝要である。
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Strategy for Future Research Activity |
独立行政法人国立病院機構高知病院の3回目の倫理委員会に挑戦し、研究協力を得られることを目指す。 徳島大学病院では、引き続き検体の収集を行う。 さらに、高知大学の麻酔科・呼吸器外科からも研究協力を得られる予定であり、今後倫理委員会通過次第、症例を蓄積していきたいと考えている。 検体が得られた段階で、呼吸器内科専門医により、病理組織学的診断を受け、症例の間質性肺炎の分類を明らかにする。然る後に、検体のタンパク質解析を行い、発現の違いの傾向を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力施設において検体の固定を行うための試薬の購入、技術者の雇用のための謝金、郵送費などを使用する。 基礎実験を行うために必要な抗体、試薬、器具の購入に充てる。 また、先端の知識を得るための学術集会参加、文献収集のための費用に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)