2013 Fiscal Year Research-status Report
冠虚血危険因子による心筋コンディショニング阻害の分子機序とその制御
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24791600
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
東島 潮 長崎大学, 大学病院, 助教 (20380909)
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Keywords | レボシメンダン / ミルリノン / プロポフォール / ミトコンドリアATP感受性カリウムチャネル / 薬理学的ポストコンディショニング |
Research Abstract |
欧米の食文化の浸透によりメタボリックシンドロームが社会的に大きな問題となっており、本邦における医療経済にも大きな負担を強いている。虚血性心疾患患者に対する治療法は従来の心臓カテーテル治療を中心とする内科的治療、冠動脈バイパス術に代表される外科的治療に関しては一定のレベルに到達しているといえる。しかしながら、心筋コンディショニング(心筋虚血に対して、先行する虚血刺激や薬剤投与によって耐性を惹起し心筋を保護する方法)に関しては動物実験を中心に多数の報告があるとはいえ、実際の臨床において十分応用されているとは言い難い状況である。個々の症例に適した薬理学的な心筋保護法を開発することは、確立した虚血性心疾患患者の急性期管理、周術期管理にさらなる予後の改善をもたらす可能性がある。我々は、強心薬(PDE3阻害薬、カルシウムセンシタイザー)を中心に薬理学的ポストコンディショニングの研究を行い、成果を報告してきた。強心薬によって、その分子機序が異なることも判明している。今回は、麻酔薬(プロポフォール)が各強心薬の心筋保護効果にもたらす影響について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
仮説で予想した結果と異なる実験結果となっている。また、その原因として、心筋虚血モデルのコントロール群を検証した結果、虚血サイズにバラつきがあり、それが今回の実験結果に影響をもたらしている可能性がある。今後はコントロール群の実験手技の安定化を図った上で、再度仮説の検証実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はコントロール群の実験手技の安定化を図った上で、再度仮説の検証実験を行う予定である。また、上記強心薬によるポストコンディショニングに影響を及ぼす病態の動物モデルを使用し、実験を行っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今回の研究において、実験前に設定した仮説と実際の実験データに乖離があった。また、心筋虚血モデルのコントロール群の心筋梗塞サイズも安定しなかったことで、実験全体の手技の見直しを図らなければならず、本実験に入る前の予備実験に時間を費やすことになってしまった。その影響で、計画していた外注での蛋白泳動や組織染色等の段階に進むことが出来ず、その分に費やす予定であった資金に余剰が生じてしまった。 予備実験にも試薬、動物、実験道具にも経費がかかるので、実験データが安定化するまでに経費をその費用分に使用することを考えている。また、本実験に入れた段階で、繰り越し費用分も含め、外注分の費用に充てていくことを考えている。
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