2013 Fiscal Year Annual Research Report
グルコース感受性蛍光指示薬を用いた麻酔薬の神経細胞内グルコースへの影響の検証
Project/Area Number |
24791604
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
田村 隆二 宮崎大学, 医学部, 助教 (40549060)
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Keywords | 1,5-アンヒドログルシトール / 糖尿病 / 手術麻酔 |
Research Abstract |
本研究の目的は、種々の麻酔薬が神経細胞内グルコース濃度におよぼす影響を解明し、それにより糖尿病や神経系に合併症のある患者の麻酔に最適な麻酔薬を見出すことである。神経細胞内グルコース濃度を直接測定する計画であったが、まず投与された麻酔薬が生体のグルコース濃度にどのような影響を及ぼすのか検証した。 手術麻酔時は手術侵襲によるストレスのため、内因性のカテコールアミンやステロイドホルモンの分泌が亢進し高血糖を来たしやすい状況にある。この高血糖が麻酔薬によってどのような影響を受けるのか検証した。方法として手術を受ける患者で手術中の血糖値の変動と1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)の測定を行い、まず1,5-AGが血糖評価の指標となりうるか検証を行った。対象は肝臓切除術を予定された患者とし、同じ手術麻酔法を受けた。糖尿病の有無は血糖の変動に大きく影響するため非糖尿病患者と糖尿病患者は分けて検証を行った。 結果として、患者背景に有意差のない群間で比較を行えた。糖尿病患者では非糖尿病患者と比較して手術当日の血糖上昇率は有意に高かった。非糖尿病患者、糖尿病患者とも1,5-AGは手術前と手術翌日では有意に低下した。非糖尿病患者では1,5-AGの低下率は手術当日の血糖上昇率と有意な相関が認められたが、糖尿病患者では相関が認められなかった。 糖尿病患者では同じ手術麻酔を受けても血糖値、1,5-AGをはじめとした生体内での反応が非糖尿病患者と大きく異なっていることが確認された。糖尿病患者への最適な麻酔薬の解明には糖尿病を合併した対象で検証を行う必要がある可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)