2012 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞におけるNO合成酵素系の役割の解明と次世代治療戦略の確立
Project/Area Number |
24791605
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
久保田 陽秋 琉球大学, 医学部附属病院, 助手 (10600421)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中大脳動脈閉塞 / マウス / 一酸化窒素合成酵素 / 脳虚血 / 脳梗塞 / eNOS / nNOS |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は、生体の恒常性の維持に重要な役割を果たしている。一酸化窒素合成酵素(NOS)には神経型(nNOS)、炎症誘導型(iNOS)、内皮型(eNOS)の3種類のアイソフォームが存在する。過去の研究においてnNOS由来NOは脳梗塞発症において促進的に、eNOS由来NOは逆に抑制的に働くことがしめされている。しかし、NOS系全体に由来するNOの役割はこれまで全く検討されていない。そこで本研究はNOS全欠損マウスを用いて、脳梗塞発症におけるNOS系全体に由来するNOの役割を解明することを目的とした。<方法>3種のNOS欠損マウスを順次交配して作成した、野生型マウスとNOS全欠損マウス、およびC57BL/6マウスにおいて、シリコンでコーティングしたナイロン糸を総頸動脈から頭蓋内に挿入し、中大脳動脈を閉塞させ、脳梗塞を作成し、脳梗塞のサイズを比較した。<結果>C57BL/6マウスにおいては、脳切片をTTC染色した時に脳梗塞の明らかな形成を認めるものの、NOS全欠損マウスにおいては、C57BL/6マウスと同じような神経症状と生命予後であるにも関わらず、TTC染色上、脳梗塞の形成が認められない。この原因として、中大脳動脈閉塞処置後の血流が安定して低下しないことが考えられ、現在、頭頸部血管解剖の変化がマウス種間で見られるのか、墨汁を用いた血管観察を行う予定である。また、過去の報告と同様の結果が得られるのかどうか、eNOS欠損マウスを用いて中大脳動脈閉塞を行い、脳梗塞サイズの定量を行う予定である。<結論>明らかな結論は未だ導きだせない。<今後の予定>上記結果と原因の考察を行い、研究方法の修正を行う可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定外の結果(同じような神経症状、生命予後を呈しているにも関わらず、中大脳動脈閉塞処置によって一酸化窒素合成酵素全欠損マウスにおいて脳梗塞の形成が認められない)の原因を調査していく方針となり、研究方法や内容を修正していく可能性がある。一酸化窒素合成酵素全欠損マウスにおいては、3種類の一酸化窒素合成酵素単欠損マウスを元とする重なる交配の過程で、代償性遺伝子発現により表現形が修飾されてきている可能性もあり、その1つとして、頭頸部血管の発生変化が生じているかどうかを検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年同様に、各種マウスを用いて中大脳動脈閉塞処置によって脳梗塞を誘導し、各種あるいは全一酸化窒素合成酵素由来の一酸化窒素が果たす役割を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウス購入・飼育や血管内挿入用ナイロン糸(シリコンコーティング加工)の購入、器具や試薬の購入、研究に関わる出張に使用する。
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Research Products
(1 results)