2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞におけるNO合成酵素系の役割の解明と次世代治療戦略の確立
Project/Area Number |
24791605
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
久保田 陽秋 琉球大学, 医学部附属病院, その他 (10600421)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中大脳動脈閉塞 / マウス / 脳梗塞 / 虚血再灌流 / NOS / 一酸化窒素合成酵素全欠損 / 性差 / 神経型NOS |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス中大脳動脈閉塞による一過性虚血再灌流モデルにおける一酸化窒素合成酵素系の役割を解明する目的で、3種の一酸化窒素合成酵素を全てノックアウトしたNOS全欠損マウスと野生型マウスを使用し比較検討した。マウスを全身麻酔、呼吸および体温管理下に中大脳動脈閉塞へのシリコンコーティングナイロン糸挿入処置を行い虚血とした。そして1時間後に塞栓糸を抜去し再灌流させたが、この一連の過程をレーザードップラー血流計でモニターした。虚血中の血流変化の経過は種差が見られなかったものの、再灌流後の血流の経過については、野生型マウスでNOS全欠損マウスと比較して優位に血流の回復が見られた。24時間後の脳摘出後の脳冠状断TTC染色で脳梗塞面積から割り出した脳梗塞容積の比較では、NOS全欠損マウスで野生型マウスと比較して有意に脳梗塞サイズの減少を認めた。脳摘出直前の神経学的評価および生存率についても、NOS全欠損マウスで野生型マウスと比較して有意に良好な結果を示した。以上のことから、脳梗塞の病態におけるNOS系の全体的な役割としては、脳虚血・再灌流の条件下で悪い作用があり、NOS全欠損による脳梗塞サイズ縮小や症状の改善が見られることがわかった。これらの結果については、平成26年3月に行われた日本循環器学会で報告した。その後これらの現象の機序を調べる目的で、酸化ストレスの指標としてのチロシンニトロ化タンパクの脳内発現について、ニトロチロシン抗体を用いたウエスタンブロット解析で調べたところ、野生型マウスと比較してNOS全欠損マウスではチロシンニトロ化タンパクの発現が有意に減少していた。今後は、神経型NOSが本病態に占める責任の割合が大きいものと推測し、オスだけを用いる実験ではなくメスも加えた比較検討を行い、機序の解明を進める計画である。
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