2014 Fiscal Year Research-status Report
エピゲノム網羅関連解析による術後悪心嘔吐の性差の機序解明
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24791606
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
早瀬 知 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20579007)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / TACR1遺伝子 / 術後悪心嘔吐 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは平成26年度、ヒトTACR1遺伝子のメチル化率と術後悪心嘔吐の強度が負の相関を示すことを認めたが、その後追加実験により男性においては必ずも一致しないことを認めた。TACR1遺伝子のメチル化率と発現には性差が存在すると考え、マウスを用いて雌雄差について検討した。その結果、オスマウスよりもメスマウスにおいてTACR1遺伝子のメチル化率は有意に高いにも関わらず嘔吐行動モデルにおいてはメスマウスの方がより強く出ることが分かった。以上からTACR1遺伝子のプロモーター領域のメチル化率はヒトにおいてバイオマーカーとすることは難しい可能性が示唆された。 そのためTACR1遺伝子以外の候補遺伝子を探索するため、近年悪心嘔吐との関係が指摘されている海馬を標的とし、海馬ニューロンよりmRNAを包括的に解析するトランスクリプトーム解析を行う実験系を新たに開発した。その結果海馬ではドーパミン受容体、Nogo受容体をコードする遺伝子の発現が有意に増大しており、一方で麻酔薬による悪心嘔吐の主な原因とされているセロトニン受容体遺伝子の発現は増強していなかった。このことから、海馬が悪心嘔吐に関係するのであれば、海馬におけるドーパミンに対する感受性の変化が術後悪心嘔吐の機序の一つである可能性が示唆された。今後は本研究の結果を行動学的な解析を追加してさらに機序について詳細に検討していく予定である。またドーパミン受容体遺伝子のメチル化率解析も加え、ヒトにおけるバイオマーカーの探索も継続して行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であったメチル化率解析は終了し、術後悪心嘔吐のバイオマーカー探索にエピゲノムを用いることは現在の技術では難渋すると予想された。そのため他の実験手法により、マウス脳内において吸入麻酔薬曝露に伴うTAC1遺伝子(TACR1遺伝子がコードするニューロキニン受容体のリガンド)が強く発現することを発見した。ヒトにおけるTACR1遺伝子の一塩基多型が術後悪心嘔吐の強度と関連することは、受容体-リガンドの親和性が変化している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はさらにリガンド-受容体の親和性について探求を進めるとともに、現在までに発見した事象について論文作成・発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度までに得られた結果から、TACR1遺伝子のメチル化率は術後悪心嘔吐の強度の個体差を説明することができず、リガンドであるTAC1遺伝子の発現動態にも着目する必要が出たため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
術後悪心嘔吐マウスモデルを用いて吸入麻酔薬および偽手術を用いて脳内のTAC1遺伝子およびTACR1遺伝子の発現を経時的に測定することと、免疫染色によりサブスタンスPおよびニューロキニン受容体の結合能について測定する。また一部基金を分子遺伝学的実験機器のメンテナンス費用として充当する。
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Research Products
(3 results)