2013 Fiscal Year Annual Research Report
亜硝酸塩ポストコンディショニングによる心筋保護作用とその分子機序の解明
Project/Area Number |
24791607
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
平田 直之 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00438045)
|
Keywords | 周術期管理学 |
Research Abstract |
高齢化社会と周術期管理の質的向上により,虚血性心疾患などの循環器合併症を有する患者が手術を受ける機会は増えており,周術期管理の安全性と質を高めるためには,臓器保護を意識した管理が求められる. 亜硝酸塩は,近年,臓器保護作用が期待される生理的物質として報告されているが,未だ不明な点が多い.そこで今回,われわれは心筋虚血や虚血再灌流障害に対して臓器保護的に作用するかどうかについて研究を行った. Wistarラットを用い心筋梗塞モデルを作成し亜硝酸塩の投与の有無が,虚血後の死亡率や不整脈発生率へ及ぼす影響を調べた.麻酔科下に冠動脈左前下行枝を結紮し,30分継続した.異なる容量の亜硝酸塩(0, 48nM, 480nM, 4.8mM)を投与し,虚血中の血行動態,不整脈発生へ及ぼす影響を比較したところ,480nMの亜硝酸塩投与により虚血性心室性不整脈の発生を軽減できた.一方,虚血領域については影響が見られなかった.本作用は,心筋虚血前の投与により有用であり,虚血後投与については明らかな効果を認めなかった.亜硝酸塩による虚血心筋に対する抗不整脈作用は,NO阻害薬であるPTIOにより棄却されたことから,NOの関与が示唆された.一方,NOSの阻害薬併用では明らかな影響がなかったことから,好気的条件で活性を示すNOSよりも,ミトコンドリアNOSにより嫌気的条件下で亜硝酸塩が還元され産生されたNOの作用であることが示唆された.しかしながら,単離ミトコンドリアを用いた研究では,虚血再灌流条件下においても亜硝酸塩がNOへ還元されることによる作用は見られなかったことから,今後,心筋ギャップジャンクションなど不整脈発生へ関与している他の因子への影響を研究していく予定である.
|
Research Products
(2 results)