2012 Fiscal Year Research-status Report
局所麻酔薬の心毒性に対するリピッドレスキューの機序解明
Project/Area Number |
24791619
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松浦 正 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90619793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 局所麻酔薬 / 脂肪乳剤 / パッチクランプ |
Research Abstract |
局所麻酔薬の細胞内外の分布に対する脂肪乳剤の効果について、電位依存性プロトンチャネルを用いたパッチクランプ法により検討した。局所麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン)は、濃度依存性にプロトンチャネル電流を抑制した。脂肪乳剤を細胞外液に加えるとブピバカインにおいては著明に抑制が軽減され、リドカインについては効果は少なかった。局所麻酔薬を含む脂肪乳剤と標準外液の混和液を遠心することにより脂肪層を取り除いた遠心液を作成し、脂肪乳剤混合液と効果を比較した。遠心液と脂肪乳剤混合液では電流抑制を回復させる効果に差はなかった。 パッチクランプの溶液槽をブピバカインで満たした後に、U-tubeを用いて標的細胞周囲の外液を急速に置換する実験を行った。標準外液と脂肪乳剤を含む外液では電流回復効果に差はなかった。一方溶液槽を一定速度でwash outする実験では脂肪乳剤を含む外液で有意に電流回復が速かった。 これらの結果から脂溶性の高い局所麻酔薬においては脂肪乳剤は局所麻酔薬を細胞外で取り込み遊離型濃度を減少させ、結果的に細胞内外の濃度勾配を増加させることにより細胞内の局所麻酔薬濃度を減少させることが示された。 ブピバカインにおいては脂肪乳剤によるプロトンチャネル電流回復効果が著しいことから、リピッドレスキューの機序として脂肪乳剤が血液中のブピバカインを取り込み遊離型濃度を減少させるという「lipid sink」が非常に大きな役割をしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトンチャネルの記録による局所麻酔薬の細胞内外の分布に対する脂肪乳剤の効果についての検討については、計画していた実験を概ね終了した。特に局所麻酔薬の細胞内濃度をモニターするという目的を達成できたと考えている。またlipid sinkという機序が実際の臨床での回復速度に関わっているのかについて、U-tubeという急速投与法を組み合わせることによって検討することができた。これらの結果は2013年5月に学会で発表する予定であり、全体として概ね計画通りに研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
局所麻酔薬の心毒性についての研究であるので、心筋細胞や心臓そのものを用いた実験での検討が必要である。モルモットの摘出心から心筋細胞単離し、パッチクランプ法により局所麻酔薬の主要ターゲットであるNaチャネルについて脂肪乳剤の効果を検討を行う予定である。また摘出心を用いてランゲンドルフ灌流実験を行い、局所麻酔薬の心毒性に対する脂肪乳剤の効果を検討する。灌流実験では左室圧・心拍数の測定だけでなく心電図の記録を行い、脂肪乳剤の効果を評価する。特にNaチャネルに着目するために心電図のQRS幅の変化について測定を行うことを目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
摘出心を用いた灌流実験においても、単離心筋細胞を用いたパッチクランプ法いずれにおいてもモルモットを使用するため購入費・維持費が必要である。また灌流液作成や試薬作成のための薬品類、ガラス電極等のパッチクランプ記録および灌流実験機器に関する消耗品の購入が必要である。研究経過中に得られた成果を学会で発表するための旅費が必要となる。
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Research Products
(2 results)