2012 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛に対するフリーラジカル消去薬の鎮痛作用および予防効果に関する研究
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24791629
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 元洋 産業医科大学, 医学部, 助教 (30461578)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フリーラジカル消去薬 / 行動薬理学 / 神経障害性疼痛 / 抗侵害作用 / 鎮痛薬 |
Research Abstract |
坐骨神経絞扼による神経障害性疼痛モデル(CCI)を作製した。Bennett and Xieの方法により、雄Sprague-Dawley(SD)ラットをペントバルビタール麻酔下に大腿骨上の皮膚を切開し片側の坐骨神経を4.0-silk糸で4箇所緩く結紮すると処置から7日目に患肢に機械的痛覚過敏、熱的痛覚過敏、冷的痛覚過敏が発現した。薬物を髄腔内に投与するため、Yaksh and Rudyの方法によりラットの大槽から尾側に向かってクモ膜下カテーテル(PE-10)を挿入した。4種類のフリーラジカル消去薬edaravone, PBN, DMPO, Vitamin Eを腹腔内と髄腔内に単回投与し、CCIモデルにおける抗侵害作用を調べるため以下のテストを行った。対照として生理食塩水またはDMSOを用いた。①Plantar test (熱的痛覚過敏試験)②Cold plate test (冷的痛覚過敏試験)③electronic von Frey test (機械的痛覚過敏試験) edaravoneは3mg/kgと6 mg/kgの腹腔内投与でいずれのテストでも対照群と差は無かった。今後髄腔内投与を行う予定である。PBNは50mg/kgと100mg/kgの腹腔内投与で用量依存性に機械的痛覚過敏と冷的痛覚過敏を抑制した。しかし熱的痛覚過敏では作用を認めなかった。一方、1mgと2mgの髄腔内投与でも用量依存性に機械的痛覚過敏と冷的痛覚過敏を抑制した。DMPOの髄腔内投与では2mgで機械的痛覚過敏と冷的痛覚過敏を抑制した。Vitamin Eはこれまで腹腔内投与のみ行っている。1g/kgと5g/kgで用量依存性に機械的痛覚過敏と冷的痛覚過敏を抑制した。5g/kgでは熱的痛覚過敏を抑制した。薬物の作用部位を調べるため今後、髄腔内投与に加えて脳室内投与が必要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた実験計画の多くを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を遂行する上でこれまで環境面と技術面で問題は生じていない。研究計画の変更は行わない。初年度に行っていないフリーラジカル消去薬の髄腔内および脳室内投与を中心に行い脳内の作用を検討する。腹腔内投与で効果を認めなかったedaravoneについては髄腔内投与で効果を認めた場合に限り、脳室内投与を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に基づき雄SDラットを使って坐骨神経絞扼神経障害痛モデルを作成する。髄腔内投与のためのくも膜下カテーテルの留置、および脳室内投与のための脳室カニューレ留置を行う。4種類のフリーラジカル消去薬、edaravone, phenyl N-tert-butylnitrone (PBN), 5,5-dimethl-1-pyrroline-N-oxide (DMPO), Vitamin Eの1回の髄腔内投与と脳室内投与を行い①electronic von Frey test(機械的痛覚過敏検査) ②plantar test(熱性痛覚過敏検査) ③cold plate test(冷的痛覚過敏検査)を行って抗侵害作用の有無を検討する。尚、本年度は試薬を除く全ての消耗品を共同で購入したため予定よりも費用が掛からなかった。
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