2012 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌前癌病変におけるTXNIP―ARRB2経路を介した細胞膜情報伝達制御の解明
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24791633
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高岡 栄一郎 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50625340)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | TXNIP / BBN / EMT / E cadherin / βarrestin2 / Lipid rafts / cavelonin / flotilin |
Research Abstract |
“TXNIP-ARRB2経路を介した細胞膜情報伝達制御の解明”という課題に対し、まず予備実験として膀胱癌細胞株に対しlipofectamineでのtransfectionによるTXNIP強制発現膀胱癌細胞株の樹立を試みたがtransfectionを得られなかった。また、それに同時進行する形でTXNIP-KO mouseを用いたBBN発癌実験を行ったが、12週のBBN投与、ならびにその後12週の経過観察後の評価ではTXNIP-KOとwild typeの間で膀胱癌表現型において有意な差を認めなかった。前者に関しては発現効率がさらに良いとされるレンチウイルスベクターを用いたtransfectionを、後者についてはBBN投与濃度、期間を再検討の上、実験の再開を予定している。別の予備実験として、TXNIP knock out mouseについて代表的な上皮間葉転換(EMT)関連マーカーであるE cadherinの発現を免疫染色で検討したところTXNIP knockout mouseではwild typeと比較して膀胱尿路上皮、膣上皮、直腸上皮において発現が低下しているという結果を得た。さらに追加実験としてwestern blotを行い、やはりタンパクレベルにおいてもTXNIP knockout mouseでE cadherin発現の低下を確認した。この実験結果から、我々は、尿路上皮癌においてTXNIP-ARRB2経路が膀胱癌発癌早期におけるEMT誘導に関連しているのではないかという新たな仮説を得た。また、脂質ラフトを介したシグナル伝達とTXNIP-ARRB2経路のクロストークがEMTに関与している可能性も示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TXNIP transfectionの実験系が安定しないためin vitroの実験は遅れているが、TXNIP knock out mouseを用いたin vivoの系ではE cadherinを中心としたEMT関連因子の発現変化を確認できたため、今後はラフト構成分子(cavelonin, Flotilin)などの発現変化について確認をしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1. In vivoにおけるβ arrestin2、ならびにラフト構成分子の発現検討:TXNIP knock out mouseにおけるβarrestin2、ならびにラフト構成分子であるcavelonin, fotikinの発現をIHC, WB, RTPCRを用いて検討する。2. TXNIP knock in,実験系の確立ならびにそれらの細胞を用いた実験:レンチウイルスベクターを用いてTXNIPを膀胱癌細胞株に強制発現させ、EMT マーカー、ラフト構成分子の発現変化についてmRNA, タンパクレベルにおいて検討する。また、それらの細胞を用いてInvasion assayを行い、in vitroにおいてTXNIPの発現変化が細胞浸潤能に影響を及ぼすかどうかについて検討する。また、ラフト阻害剤を用いて同様の浸潤能試験を行い、EMTの変化をみる。3. βarrestin2 knock in, knock down実験系:βarrestin2についても2と同様の実験を行う。4. TXNIP knock out mouseを用いたBBN発癌実験:BBN自然飲水による発癌実験を行い、浸潤性膀胱癌の発生 頻度、時期についてwild typeと比較検討し、その際のEMTマーカー、ラフト構成分子の発現変化について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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