2012 Fiscal Year Research-status Report
癌抑制マイクロRNA‐145が制御する前立腺癌における新規分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
24791636
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
布施 美樹 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90568627)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 前立腺癌 / miR-143 / miR-145 / 癌抑制遺伝子 / 癌遺伝子 |
Research Abstract |
近年、タンパクコード遺伝子の発現調節に関わるRNA分子として、タンパク質をコードしない機能性RNAの一つであるmicroRNA(miRNA)が注目されている。miRNAは、配列特異的にタンパクコード遺伝子を標的として、その分解や翻訳を阻害する事で遺伝子の発現を制御している。miRNAの発現異常は、癌の発生、進展、転移において重要な役割を担っている事が報告されている。本研究では、前立腺癌に関わる癌抑制型miRNAを同定し、その機能解析から、前立腺癌におけるmiRNA-タンパクコード遺伝子の複雑なネットワークを明らかにする事を目的とした。 これまでに、前立腺癌臨床検体を用いたmiRNA発現解析を行い、癌組織において発現が低下している(癌抑制型miRNA候補)miRNAを複数同定した。このプロファイルから、miR-143・miR-145に着目し解析を施行した。また、miR-143・miR-145は、ヒト染色体上で近接して存在しており(クラスターmiRNA)ゲノム構造上興味深い。miR-143・miR-145の発現を前立腺癌臨床検体において確認した結果、癌部において有意に発現抑制されている事が明らかとなった。更に、前立腺癌細胞株(PC3、DU145)に、miR-143およびmiR-145を核酸導入した結果、癌細胞の増殖・浸潤・遊走を有意に抑制する事が明らかとなった。これら知見は、miR-143・miR-145は前立腺癌において、癌抑制型miRNAである事を強く示唆する。そこで次の展開として、癌抑制型miR-143・miR-145が共通して制御するタンパクコード遺伝子の同定を試みた。その結果、複数の前立腺癌における癌遺伝子候補の選択が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前立腺癌発現プロファイルから、発現が抑制されているmiR-143・miR-145に着目し、その機能解析から、miR-143・miR-145が、前立腺癌における癌抑制型miRNAである事を証明した。マイクロRNAの特徴は、複数のタンパクコード遺伝子を制御する事であり、癌抑制型miRNAが制御する複雑な分子ネットワーク解明は、癌研究において重要である。今回の解析から、miR-143・miR-145が制御する癌遺伝子候補を複数同定する事が可能であった。この事は、本研究の方向性を見出す上で重要な知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
前立腺癌・癌抑制型miRNAであるmiR-143・miR-145が制御する分子ネットワークの探索を行う。これまでの解析において、miR-143・miR-145が共通して制御する遺伝子の候補が複数同定されている。この中から、前立腺癌臨床検体において発現が亢進している遺伝子の選択を行う。更に、候補遺伝子について、siRNAを用いた遺伝子ノックダウン解析から、癌遺伝子機能を有するか、検討を行う。また、miR-143・miR-145が直接制御するか、生化学的な検証を行う予定である。これら解析から、前立腺癌におけるmiRNA-タンパクコード遺伝子の複雑なネットワークの一端を明らかにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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