2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791645
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥田 英伸 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00625452)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 精子 / ICSI / ミトコンドリア |
Research Abstract |
精巣内精子採取術(TESE)やICSI(intracytoplasmic sperm injection)に際しての精細胞及び精子の正確な判定の方法や基準の作成が臨床において切望されていた。 これまで、様々なステージに反応する精細胞特異的抗体を組み合わせることによって形態学的に判別が難しかった精細胞のステージを明確に分類化した。 さらにvital cellのミトコンドリアに取り込まれる染色物質Mitotrackerを用いて、精細胞の分化過程においてどのようにミトコンドリアの変化が起こっているかを明確にした。これらの結果を組み合わせることにより、それぞれの精細胞のステージを特定できる精細胞判定マップを作成した。 さらにこのマップの有用性を調べるために、TESEで回収したヒト精細胞の判定を生殖医療専門医及び胚培養士10名に依頼した。87個の精細胞に対して位相差顕微鏡像での判定をそれぞれ依頼した。その後十分な期間をあけた上で、精細胞判定マップを配布し、2回目の判定を依頼した。 結果、生殖医療従事者の精細胞判定の成績が有意に向上した。特に1回目の判定では円形の精細胞の判定はほとんど正確にはなされておらず、精子の形態を示す細胞(精子・後期精子細胞・奇形精子)に関しても、十分ではなかった。しかし、マップを使用した2回目ではその正確性が著明に改善した。また精子の形態を示す細胞毎の判定においてもその正確性は有意に向上した。 ICSIに使用する精子の選択は、その後の妊娠率などに影響を与える非常に重要な因子である。今回我々が作成した精細胞判定マップは臨床の現場において良好な精子の選択に起用するツールとしての応用が今後期待される。
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