2014 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性大腸菌in vivo感染モデルでのPK-PDに基づいた抗菌薬投与法の検証
Project/Area Number |
24791651
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
和田 耕一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (20423337)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 大腸菌 / 薬剤耐性 / ESBL産生 / マウス尿路感染症モデル / MLST解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24-25年度に岡山大学倫理委員会で承認された以下の研究を平成26年度は本格的に運用し、多くの登録症例を得て学会や研究会で報告した。 主要な研究成果として、①キノロン耐性大腸菌やESBL産生大腸菌選択的培地の有効性を他施設共同研究として実施し、同培地の有効性を示すことができた。具体的には479例について同培地を使用し、161例(33.6 %)でキノロン耐性大腸菌が陽性であった。また、ESBL産生大腸菌は425例中54例(12.7%)であった。分離された大腸菌株366株について、LVFXに対するMIC(微量液体希釈法)と本培地の結果を比較したところ、耐性/感受性の結果が91.0 %一致し、選択培地の感度と特異度はそれぞれ95.7 %、88.2 %であった。②急性単純性膀胱炎患者を無作為にセフジトレン ピボキシル3日間または7日間投与に割付し、両群間の治癒率を検討、両群間に差がないことを示し学会で発表した。③昨年度に報告したフルオロキノロン系抗菌薬の精巣、精巣上体への移行性とともに、マクロライド系、経口セフェム、ST合剤の組織移行性も検証し、平成27年6月の第63回日本化学療法学会総会で総括する予定である。 実験研究では、岡山大学泌尿器科において尿または直腸から分離されたESBL産生大腸菌のMLST(multilocus sequence typing)解析と耐性遺伝子タイピングを継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、前述した臨床研究を中心に運用した。 ① 便中のフルオロキノロン耐性大腸菌を検出する簡易培地に関する研究‐前立腺生検に適用し急性前立腺炎の発生率低下に寄与するか‐(岡山大学倫理委員会受付番号:1290)② 成人急性単純性膀胱炎におけるセフジトレン ピボキシルの臨床効果と投与日数の検討(岡山大学倫理委員会受付番号:1383)③ 抗菌薬の精巣上体,精巣組織に対する移行性の検討 (岡山大学倫理委員会受付番号:1409) 登録症例数/目標症例数は①500例を超え登録を終了、現在解析作業を継続中である。②は104例で登録終了、統計学的解析を行っている。③は25/25例を達成したため研究を延長し、50例の目標を達成、平成27年6月に学会発表を控えている。これらの研究課題は臨床分離株の収集、抗菌薬の投与法に関する臨床データの収集、PK/PDに即した抗菌薬投与法の臨床的解析、大腸菌が原因菌として最も多い尿路性器感染症で頻用される抗菌薬の体内動態の解析を目的としており、本研究課題に即した臨床研究といえる。 マウスを用いるin vivo実験モデルは、岡山大学自然生命科学研究支援センター動物資源部門鹿田施設の耐震改修工事にともない、構築途上で中断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24-25年度に岡山大学倫理委員会で承認された臨床研究は平成27年度に総括を行う。すなわち①キノロン耐性大腸菌とESBL産生大腸菌を選択的に分離する培地については海外を含めた学会発表を予定している。②セフジトレン ピボキシルについては現在外部機関に解析を委託しており、平成27年度中に論文作成をめざす。③各種抗菌薬の精巣・精巣上体への組織移行性についても5種類の抗菌薬、各薬剤10例ずつがエントリーされており、他に例を見ない薬剤数と症例数であるため、平成27年6月の学会発表後に早期に英文での論文化を目指す。 実験研究では、岡山大学泌尿器科において尿または直腸から分離されたESBL産生大腸菌のMLST(multilocus sequence typing)解析と耐性遺伝子タイピングを継続し、平成27年度まで研究期間の延長が承認されたことで、研究期間中に分離された株の解析結果をまとめ、学会発表や論文化を目指す。岡山大学自然生命科学研究支援センター動物資源部門鹿田施設の耐震改修工事が終了次第、マウス尿路感染症モデルでの実験を再開する。 上記の臨床研究は基礎研究によって得られた知見に裏付けられるような目線で推進する。
|
Causes of Carryover |
岡山大学自然生命科学研究支援センター動物資源部門鹿田施設の耐震改修工事にともない、平成26年11月以降平成27年夏頃まで、動物を用いた感染実験の実施が不可能となり、未使用額が生じた。また、平成26年度に予定していた海外での研究成果発表を見合わせた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額は、臨床研究の継続に伴って必要となる菌株培養の培地や試薬・器具類の購入、分離株の分子疫学的解析に必要な試薬・酵素類の購入、尿路感染症モデルの実験に使用するマウス、試薬類の購入、マウス飼育費、施設使用費等にも使用する。また論文投稿のための必要経費、海外での研究成果発表のための旅費に充てる予定である。
|
Research Products
(6 results)