2012 Fiscal Year Research-status Report
膀胱がんにおける治療標的となり得るがん関連遺伝子の解析および転移予測指標の確立
Project/Area Number |
24791656
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
西山 直隆 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70619030)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 尿路上皮癌 / FN1 / HIST1H1C / AKAP12 / GMFG |
Research Abstract |
尿路上皮がんにおけるArray CGH解析において同定した、尿路上皮がんの悪性度を反映する臨床病理学的因子と染色体構造異常は相関する染色体座に位置するがん関連遺伝子について、治療標的および転移予測指標になりうる遺伝子の絞り込みを行った。 膀胱癌cell line、T24、UMUC3の細胞株をシスプラチン下に継代を行い3μg/mlでのシスプラチン耐性株を樹立。シスプラチン、ジェムシタビンを用いた毒性試験を行い、T24耐性株、UMUC3耐性株がT24、UMUC3と比較しシスプラチンのみならずジェムシタビンにも耐性を獲得していることを同定した。T24、UMUC3、T24耐性株、UMUC3耐性株のRNA抽出を行い、3D-Gene DNAチップでの解析を施行。またジェムシタビンとシスプラチンを組み合わせた化学療法を施行した尿路上皮がん有転移症例の手術摘出標本を用いたFFPEサンプルRNA抽出を行い、3D-Gene DNAチップでの解析を施行。非耐性細胞株と比較し、耐性細胞株での強発現、弱発現低下を認める遺伝子、および臨床検体での強発現、弱発現低下を認める遺伝子は34遺伝子であった。それらの遺伝子のうちで臨床検体、T24、UMUC3で同様に強発現しているのは10遺伝子、弱発現しているのは6遺伝子であった。 先に行った尿路上皮がん49検体において、244K oligonucleotide arrayを用いたアレイCGH法にてゲノム網羅的にゲノム構造異常を解析し得られた、染色体における尿路上皮がんの染色体数の変化と臨床病理学的因子が有意に相関する染色体座と組み合わせた。その結果2q34;FN1、6q21.3;HIST1H1C、6q24-25;AKAP12、19q13.4;GMFGのそれぞれの染色体座に位置する遺伝子が尿路上皮がんの悪性度に寄与し、化学療法の抵抗性と関与していると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
T24およびUMUC3のシスプラチン耐性株の樹立を目指したが、シスプラチン3μg/mlの環境下でも継代しうる耐性株の樹立までに6か月ほどの継代を必要とした。シスプラチン3μg/ml下での安定した継代の必要のために3か月の継代を必要とした。以上からシスプラチン耐性細胞株の樹立までに9か月を要しており研究の進捗状況としてはやや遅れている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
遺伝子が尿路上皮がんの悪性度に寄与し、化学療法の抵抗性と関与していることが考えられた2q34;FN1、6q21.3;HIST1H1C、6q24-25;AKAP12、19q13.4;GMFGに対し検討を進める。まずアレイCGH法、3D-Gene DNAチップでの解析の妥当性を評価するために、4遺伝子について抽出したRNAについてRT-PCRを行い、遺伝子発現についての実験結果の妥当性を証明する。必要であればウエスタンブロッティングを行い蛋白発現についても検討する。妥当性が証明された遺伝子について当科でシスプラチン、ジェムシタビンを用いた化学療法を行った有転移症例に対し、上記の4遺伝子に対し免疫染色を行い、化学療法に対する予後予測指標になり得るか検討する。同時にT24、UMUC3についてsiRNA法を用いた遺伝子ノックダウンを行い、細胞度毒性試験を施行。細胞株でのそれらの遺伝子が化学療法に及ぼす効果について検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
膀胱癌耐性株の樹立が遅れたことにより解析に遅延が生じた。平成25年度に繰り越してその解析を行い、それによって同定されたターゲットgeneについて、平成24年度の研究費の残額を使用する予定である。
|