2013 Fiscal Year Research-status Report
前立腺肥大症発症における炎症性サイトカインIL-18の関与とそのメカニズムの解明
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24791665
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
濱川 隆 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (40595394)
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Keywords | 前立腺肥大症 / 炎症 / IL-18 / TSP-1 |
Research Abstract |
ヒト正常前立腺培養細胞に対するIL-18の直接的作用の検討: ①ヒト正常前立腺培養細胞であるPrSC(前立腺間質細胞)、PrSMC(前立腺平滑筋細胞)に対してIL-18を投与し、WST assayを施行したところ、各細胞とも有意な増殖能の変化は認めなかった。 ②PrSC、PrSMCに対してIL-18を投与し、各種増殖因子、細胞外マトリックス、アンドロゲンレセプター等の発現を定量RT-PCR、ウエスタンブロッティングで検討した。その結果PrSMCにおいて、IL-18の濃度依存的にThrombospondin-1(TSP-1)という細胞外マトリックスの発現の増加が認められた。 ③PrSMCに対してIL-18を投与し、細胞内シグナル伝達経路の変動を観察するためウエスタンブロッティングを施行したところ、Aktのリン酸化の亢進が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度からもちこしていた、ヒト正常前立腺培養細胞に対するIL-18の直接的作用の検討については、今年度に施行することが可能であった。 また当初の研究予定では今年度は以下の計画を予定していた。 1)モデルラットへのIL-18投与による前立腺肥大症発症の検討、2)ヒト前立腺培養細胞に対するIL-18投与による胎生期遺伝子の発現の検討。 これらのうち、2)については施行することができ、実験結果が得られた。しかし1)については、モデルラットへのIL-18投与方法として浸透圧ポンプの利用を行っているが、手技上の問題や、薬剤濃度の検討などいくつかの課題が有り、難渋している状態である。 動物実験についてはやや難渋しているが、動物を用いた実験以外については順調に進んでいるため、おおむね順調に進んでいるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに前立腺肥大症モデルラットの作成手技の安定と、前立腺培養細胞を用いた実験系の確立とそれを用いた検討が達成できた。しかし、前立腺肥大症モデルラットへの薬物投与についてはいくつかの課題があり達成できていない。これに対して、浸透圧ポンプの利用方法、薬物濃度設定の検討、あるいは他経路での薬物等との検討を行い、モデル動物を用いた実験を進めていく予定である。 平成26年度の計画は、1)前立腺肥大症モデルラットに対するIL-18、抗IL-18抗体投与による胎生期遺伝子発現の検討と、2)ヒト前立腺培養細胞に対するIL-18投与によって引き起こされる上皮間質相互作用の検討を予定している。1)についてはまず、モデルラットへの投与方法を確立することが必要で、それが達成できた後に組織を採取し検討する。2)については上皮細胞、間質細胞、平滑筋細胞を用いて、トランスウェルを用いた共培養系の確立や、WST assayを用いた増殖能の変化の検討を行う予定である。 適宜、指導者とディスカッションを行いながら、研究計画が遂行できるように結果の評価、計画の修正を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前立腺培養細胞を用いた実験が、当初よりもスムーズに進行したため。 動物実験や各種試薬の購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)