2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791683
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
錦見 恭子 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00536302)
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 |
Research Abstract |
卵巣clear cell adenocarcinoma(CCA)の発生には、以前からendometriosisから発生する機序が知られている。一方、頻度は低いものの近年注目されているのが、clear cell tumorの良性病変であるclear cell adenofibromaから境界悪性を経て明細胞腺癌が発生する機序である。Clear cell adenofibromaあるいはclear cell adenofibroma, borderline tumorは大変まれであるため、その発生機序については不明な点が多い。2010年にWiegandによって、CCAの約半数にSWI-SNF chromatin remodeling complexに関連する遺伝子であるARID1A(the AT rich interactive domain 1A)に変異があることが報告された。今回の検討では、adenofibromaに関連したCCAとendometriosisに関連したCCAにおけるARID1Aの変異の違いと予後の違いについて検討した。当院および関連施設で治療を行った卵巣明細胞腺癌93例について、endometriosisおよびadenofibromaの有無とARID1Aをencodeする蛋白であるBAF250aの免疫染色における発現の消失を確認した。AdenofibromaのあるCCAのBAF250aの発現低下は、odds比0.3(0.1-0.8, 95%CI),p=0.01であり、endometriosisのあるCCAのBAF250aの発現低下は、odds比0.6(0.2-1.1, 95%CI),p=0.10であったことより、adenofibromaのあるCCAでは有意にARID1Aの変異が少なく、またendometriosisのあるCCAとARID1Aの変異の関係は有意ではないことがわかった。以上より、adenofibromaに関連したCCAとendometriosisに関連したCCAでは発生機序が異なることが考えられた。また、今回検討した93例中pT1期が86例あり、pT1期においてはARID1Aの変異の有無とprogression free survivalに差はみられなかった(p=0.89, Log-rank)ため、ARID1Aの変異は予後因子とはならない可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)