2013 Fiscal Year Research-status Report
早産の予知、治療法の開発のための抗菌ペプチドによる子宮頚管免疫防御機構の研究
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24791688
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永松 健 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60463858)
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Keywords | 早産 / 抗菌ペプチド / 羊膜絨毛膜炎 |
Research Abstract |
昨年に引き続いてElafin、SLPIについて正常妊娠、切迫早産例でのヒト頸管粘液を用いた検討と羊膜絨毛膜炎症例における卵膜における発現についての検討を行った。頸管細胞では上皮細胞、腺細胞のいずれにおいてもSLPI、Elafinが発現していることを免疫染色で確認した。早産症例において、頸管粘液中のElafin、SLPIのmRNAレベルでの発現が上昇しており、かつ羊膜絨毛膜炎の症例では感染・炎症部位においてそれらの抗菌ペプチドの発現が蛋白レベルで顕著に上昇しているという所見を得た。Elafin、SLPIの発現・産生変化を制御する機構についての解析を行う目的で、ヒト卵膜検体を用いた培養実験を開始した。卵膜を構成する3層の細胞を抽出して炎症性サイトカインIL-1β、TNF-α、グラム陰性菌内毒素LPSによる刺激に対する反応を見た。Elafinに関しては卵膜細胞はいずれの刺激に対しても発現上昇することが明らかとなった。一方SLPIについては炎症性サイトカインに対する反応は乏しく、LPSのみで誘導された。本研究によりこれらの抗菌ペプチドが子宮内感染に際して産生が上昇し、早産発症、進展の病理機序に深く関わることが明らかとなってきている。 一連の研究成果を、第65回日本産科婦人科学会、第12回国際生殖免疫学会、第28回日本生殖免疫学会においてそれぞれ報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
切迫早産症例における抗菌ペプチドの変化について症例数を増加してよりデータの信頼性を上昇することができた。今年度は卵膜細胞培養実験法を確立できた。これにより早産の重要な背景因子である羊膜絨毛膜炎とそれらの抗菌ペプチドの機能との関係を追究できると考えている。また、当初目標の1つに置いていたSLPIノックアウトマウスを用いた検討についてはノックアウトマウスの入手に遅れを生じているが、LPS早産誘発モデルにおける早産誘発のメカニズムに関わる炎症関連分子の評価法については実験方法の確立を進めている。研究全体の進行としては概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの後方視的検討からElafin、SLPIが早産の予知マーカーとして臨床的に有用である可能性が示唆されている。今後、後方視的検討のみならず円錐切除、頸管短縮例などの早産ハイリスク症例に対する前方視的な検討を加えてゆきたい。また、これらの抗菌ペプチドの発現量は個体差が大きいため同一女性における検体を蓄積して妊娠中の生理的な変動を確認したいと考えている。これらの抗菌ペプチドの有する機能として抗菌作用以外に抗プロテアーゼがあることが知られている。頸管や卵膜における好中球エラスターゼやマトリックスメタロプロテイナーゼなどのプロテアーゼは早産進行の重要な因子として知られている。それらに拮抗する生体防御機構としてElafin、SLPIが機能しているという仮説を立てて、今年度確立した卵膜培養細胞系と早産動物モデルを組み合わせて分子機能の解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は動物実験モデルの遂行に遅れが生じた部分で動物購入、モデルの維持費の費用が少なかったが、次年度はこの部分のプロジェクト進行のため今年度未使用分の費用が発生する予定である。 ヒト頸管細胞の収集、保存のための試薬、器具の購入、培養実験、動物モデルに必要な資材の購入、real-time PCR、免疫染色に使用する抗体、各種試薬の購入を予定している。
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Research Products
(3 results)