2012 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌発癌進展過程におけるSIRT1発現と機能の解析
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24791696
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅香 亮一 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (00623688)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Sirtuin1 / 長寿遺伝子 / 脱アセチル化 / 子宮内膜癌 / p53 / 増殖能 |
Research Abstract |
長寿遺伝子として注目されているNAD依存性タンパク/ヒストン脱アセチル化酵素であるsirtuin 1(SIRT1)は、ヒストン以外にも、種々のタンパクを脱アセチル化して機能を抑制することが知られている。SIRT1はカロリー制限などの様々なストレスによって発現が誘導され、アポトーシスや細胞周期に関連するタンパクを脱アセチル化し、細胞生存に寄与していると考えられている。この作用は腫瘍細胞の生存にも有利に働くと考えられ、実際に複数の癌でSIRT1高発現が報告されている。そこで、子宮内膜癌におけるSIRT1の発現と機能の解析を行った。まず、患者の同意を得て採取した子宮内膜癌110例、正常子宮内膜72例、子宮内膜増殖症24例の組織切片に対し、抗SIRT1抗体を用いた免疫染色を行い、500細胞中の陽性細胞の割合をPositivity Index(PI:0-100)として評価検討した。SIRT1は正常子宮内膜(PI=25.3±26.5)に比較し、子宮内膜癌組織(PI=37.0±25.6)で有意に発現が亢進していた(P= 0.006)。また内膜癌においては組織分化度Grade3 (P= 0.006)、リンパ管侵襲あり(P= 0.044)の症例で優位に高発現していた。次に子宮内膜癌組織および内膜癌細胞株におけるSIRT1発現およびp53発現を検討したところ、逆相関が観察された。また内膜癌細胞株のうち比較的SIRT1高発現のHEC1BのSIRT1発現をsiRNAで抑制し、細胞増殖能をWST-1 assayで測定すると、有意に細胞増殖能が抑制された(P=0.01)。これらのことから長寿遺伝子とされるSIRT1が、子宮内膜癌発癌・進展に重要な役割をもつ可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画していた通り、組織中でのSIRT1発現を十分に行えている。 また、現時点では成果報告できるほどではないが、SIRT1抑制剤等も使用して、内膜癌細胞におけるSIRT1機能解析も進めており、当初は25年度に予定していたSIRT1発現ベクターを用いた実験も、既にある程度進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通りに進める。 siRNA法やSIRT1阻害剤を用いてSIRT1機能を抑制する。もしくはSIRT1誘導剤やSIRT1 cDNA導入でSIRT1機能を亢進させる。このような手法を用いて、子宮内膜癌細胞におけるSIRT1機能の解析を更に進める。特にこれまでの結果から、増殖や抗がん剤感受性に対するSIRT1の作用に注目している。RT-PCRやWestern blottingの方法を用いて、子宮内膜癌細胞におけるSIRT1の器質、下流分子を同定していく。 また、ヌードマウスでのxenograftモデルを用いて、造腫瘍能・抗がん剤感受性等の検討を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養関連試薬、SIRT1阻害剤や抗がん剤等の添加試薬、siRNA、RT-PCR, Western blottingなどの実験に用いる実験キット・試薬の購入に研究費を用いる予定である。 また論文印刷代に一部を用いる予定である。
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Research Products
(3 results)