2013 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌腹膜播種を制御する腹水中骨髄由来細胞の同定とその役割の検討
Project/Area Number |
24791702
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
磯部 晶 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60397619)
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Keywords | 骨髄由来細胞 / 腹膜播種 / M2マクロファージ / IL-6 |
Research Abstract |
1.卵巣癌腹水中の多種類存在する骨髄由来細胞から腹膜播種を制御する細胞の同定 卵巣癌腹水より回収した細胞群についてフローサイトメーターを用いて解析を行うにCD11b陽性骨髄由来細胞のうち約80%がCD14陽性を示した。そこでCD11b陽性CD14陽性細胞について更に解析を進めると、これらの細胞は大部分がCD68陽性CD206陽性であり、腫瘍随伴マクロファージとして知られるM2マクロファージであることが示唆された。又CD11b陽性CD14陰性細胞について、その内約36%がCD33陽性を示し、MDSC (Myeloid Derived Suppressor cells )である事が示唆された。前年度の研究で卵巣癌腹水中骨髄由来細胞の内CD11b陽性CD14陽性細胞がCD11b陽性CD14陰性細胞やCD11b陰性細胞に比して高レベルにIL-6を分泌し、又卵巣癌細胞株であるSKOV3ip1との共培養実験でCD11b陽性CD14陽性細胞はCD11b陽性CD14陰性細やCD11b陰性細胞に比して有意に卵巣癌細胞の浸潤能や増殖能を亢進する事、又抗IL-6受容体抗体により亢進した浸潤能の80%以上が抑制される事や増殖能50%以上が抑制される事から卵巣癌腹水中の骨髄由来細胞の中でも特にM2マクロファージがIL-6を分泌する事により卵巣癌の進展に大きく寄与すると考えられた。 2.1.で同定した細胞が癌微小環境に果たす役割の解明 1の結果を踏まえM2マクロファージが分泌するIL-6に着目し、1で用いた卵巣癌細胞株であるSKOV3ip1にIL-6刺激を加え、この細胞が癌微小環境に影響を与える因子を分泌するか検討した。ELISA法による検討ではSKOV3ip1はIL-6によりVEGF分泌が約1.5倍亢進し、この細胞の培養上清と血管内皮細胞(HUVEC)を用いたtube formation assayにて管腔形成も約1.5倍亢進した。又PCR arrayによる解析ではSKOV3ip1はIL-6により細胞外マトリックス接着因子であるファイブロネクチンやCD44、細胞外マトリックス破壊因子であるMMP-1やMMP-10の産生がそれぞれ2倍以上に亢進しこれらの因子が卵巣癌細胞の接着を始めとする播種進展に寄与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)