2012 Fiscal Year Research-status Report
子宮筋腫発生に関与する遺伝子の探索-エピゲノム異常の視点から-
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24791704
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
浅田 裕美 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90526906)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 子宮筋腫 |
Research Abstract |
子宮筋腫についてはこれまでに、正常子宮筋層と筋腫組織で遺伝子の発現プロファイルについて報告されている。しかし、子宮筋腫に特異的な遺伝子発現やタンパク発現パターンは見いだされておらず、発現を引き起こす原因や筋腫の発生機序についても依然として不明なままである。さらに、子宮筋腫を有さない症例と子宮筋層を有する症例の子宮筋層において遺伝子発現やタンパク発現を比較検討した報告はない。そこで、①子宮筋腫を有さない症例の子宮筋層組織、②子宮筋腫を有する症例の子宮筋層組織、③子宮筋腫組織、各組織それぞれ3症例ずつについて、Infinium Human Methylation 450(Illumina社)を用いて、ゲノムワイドにDNAメチル化状態を解析し、①・②と比べ③で発現に違いを認める遺伝子を同定することができた。つまり、これらの遺伝子が、肉眼的に正常に見える②において子宮筋腫発生のpotentialをもつことを示す遺伝子であると同定できる。また、これらの遺伝子のうち、プロモーター領域にDNAメチル化異常を有する遺伝子を抽出し、そのmRNA発現を解析し、①・②と比べ③で発現に違いを認める遺伝子をさらに抽出した。正常子宮筋細胞において、これらの遺伝子のDNAメチル化異常が起こることによって筋腫細胞発生のpotentialを獲得することが証明できれば、子宮筋腫の発生予防や進行を抑制する新規薬剤の開発へ進展する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同定した遺伝子について、正常子宮平滑筋培養細胞を用いて強制発現実験あるいは発現抑制実験を行い、細胞の増殖能及び細胞形態への影響や細胞外マトリックス産生を調べる予定だが、正常子宮平滑筋培養細胞は遺伝子導入しにくく培養環境の調整やベクター作成に難渋しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
①これまでに同定した遺伝子について、正常子宮平滑筋培養細胞を用いて強制発現実験あるいは発現抑制実験を行い、細胞の増殖能及び細胞形態への影響や細胞外マトリックス産生を調べる。 ②正常子宮平滑筋培養細胞をダイオキシン添加下で培養し、非添加群とダイオキシン添加群におけるDNAメチル化状態の違いをゲノムワイドに解析し、ダイオキシンによってDNAメチル化異常が誘発されるかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①細胞培養実験に関わる経費 ②遺伝子導入実験に関わる経費 ③メチル化状態の解析に関わる経費 本年度、同定した遺伝子について、正常子宮平滑筋培養細胞を用いて強制発現実験あるいは発現抑制実験を行い、細胞の増殖能及び細胞形態への影響や細胞外マトリックス産生を調べる予定であったが、正常子宮平滑筋培養細胞への遺伝子導入に難渋しているため未使用額が生じた。この未使用額については、平成25年度の科研費と併せて、遺伝子導入の実験に用いる消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)