2012 Fiscal Year Research-status Report
ラット黄体化顆粒膜細胞におけるステロイド合成関連遺伝子のエピジェネティクス制御
Project/Area Number |
24791705
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
李 理華 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90610668)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 排卵 / 黄体 / 顆粒膜細胞 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
排卵過程にあるラット黄体顆粒膜細胞における、StAR、Cyp11a1、Cyp19a1遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化状態をBisulfite genomic sequencing法を用いて明らかにした。また、同プロモーター領域のヒストン修飾の変化をChIP assayを用いて検討した。各遺伝子プロモーター領域は、低メチル化状態に維持されていたが排卵刺激ではDNAメチル化状態は変化しないことがわかった。一方でヒストン修飾については、StAR、Cyp11a1は発現の上昇に伴い、転写が促進となるヒストン修飾変化が認められ、Cyp19a1は発現の減少に伴い、転写が抑制となるヒストン修飾変化を認めた。そこで、このヒストン修飾変化が実際にクロマチン構造を変化させるかをDnase accessibility assayを用いて検討したところ、 StAR、Cyp11a1のプロモーター領域は排卵刺激でクロマチン構造が弛緩する方向に向かい、Cyp19a1ではクロマチン構造が凝縮する方向に向かうことが分かった。つまり、排卵刺激による遺伝子発現調節には、ヒストン修飾によるクロマチン構造変化を介した制御が働いていることが示された。DNAメチル化は排卵刺激では変化はしなかったが、そのプロモーター領域は低メチル化状態であり、顆粒膜細胞ではStAR、Cyp11a1、Cyp19a1遺伝子発現可能状態を規定していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年分の計画書に記載した内容について、StAR、Cyp11a1、Cyp19a1遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化状態、ヒストン修飾、クロマチン構造変化について成果が得られ、当初の予定通りに遂行する事ができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はCyp17遺伝子について、プロモーター領域のエピジェネティクス制御を検討するとともに、平成25年分の研究計画に記載した、クロマチン構造と転写因子の関係について研究をすすめていく予定である。また、排卵刺激によるエピジェネティクス制御のゲノムワイドな関与を検討するため、ChIP sequenceやヒストン修飾酵素のマイクロアレイを検討している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費において、転写因子のChIP assay実験のための消耗品を購入予定であったが、StAR、Cyp11a1、Cyp19a1遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化、ヒストン修飾、クロマチン構造検討の実験が長引いたため、次年度に実施することから未使用額が生じた。次年度に上記の実験に加えて、ラット顆粒膜細胞の黄体化におけるその他のステロイド合成酵素関連遺伝子発現についての検討を行う予定であり、そのためのChIP assay、DNA メチル化、クロマチン構造変化、転写因子結合検討の消耗品の費用として使用する。
|