2012 Fiscal Year Research-status Report
卵細胞質内精子注入法における高倍率下精子選別法の有効性・安全性に関する基礎的検討
Project/Area Number |
24791715
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
菅沼 亮太 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30528211)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 体外受精 / 顕微授精 |
Research Abstract |
高倍率(3000~6000倍)で精子を観察し形態(頭部・中間部・尾部)良好な精子を選別し卵内に注入する方法(intracytoplasmic morphology selected sperm injection:IMSI)の有効性・安全性についての基礎的検討を目的とし、精子形態と精子機能の相関を評価すべく、マウス卵を用いた受精能・妊孕能の検討および不妊症症例から精液検体の収集・保存を行った。 妊孕性の確認されたWHO正常精液所見基準を満たす(説明・同意を得た提供者からの)提供精子を用いて、精子頭部・中間部・尾部の形態分類を行い、それぞれの精子を用いて、過排卵刺激したB6D2F1マウスから得られた卵子に卵細胞質内精子注入法(Intracytoplasmic sperm injection:ICSI)を施行後、受精卵の形態評価および染色体分析を行い、ヒト精子形態と精子染色体異常率・受精率の相関について検討を行っている。頭部(3群)・中間部(2群)・尾部(2群)の異常の有無で、12群に分類し、受精率・染色体異常率との相関についての分析を行うべくデータを蓄積中である。 また、不妊症症例(高度男性不妊症例のみではなく、男性因子以外の一般不妊症例も含む)から得られた精液検体を用いて、高倍率での観察および形態分類を行い、治療成績と形態分類の結果との相関を調べるため、精子観察データの蓄積と一部検体の保存を行った。 現時点では、人工授精(AIH)症例:約100検体(3年で150検体目標)、体外受精・ICSI症例:約80検体(3年で約150検体目標)の保存が可能であった。次年度以降、引き続き検体の収集・保存を行うとともに、臨床成績との相関を評価を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
精子の観察・形態評価に要する、一検体あたりの時間が予想していたより長時間を要してしまうことが分かった(30~40分程度)。このことにより、検体収集のペースは予定を上回る水準であるが、精子検体の観察・形態評価がやや遅れ気味であった。 この問題点については、(導入が本年度の後半になってしまったが)現在の顕微授精用の顕微鏡に、高倍率下精子選別法(intracytoplasmic morphology selected sperm injection:IMSI)用の自動制御装置(低倍率から高倍率への切り替えを自動で行うシステム)を導入したことにより、操作の簡略化・観察時間の短縮が図れるようになったため(およそ一検体あたり10~20分の短縮が見込まれる)、解決可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に行った形態評価方法(形態分類方法)に従い、当施設において加療中の不妊症例からの提供精子を用いた本方法の有効性・安全性の検討を継続して行う(結果を踏まえ、形態分類の集約化・細分化などの再評価を行う)。また、各症例における安全域の再評価も併せて行っていく(顕微鏡観察時間・空気中での体外培養時間の影響に個体差、あるいは精液所見による差がある可能性を考慮し、IMSIの際に要する観察時間・顕微授精までに要する時間が、受精能・精子染色体に及ぼす影響を評価し、安全域の設定についての再検討を行う)。 ※前年度、導入した高倍率下精子選別法(IMSI)用の自動制御装置(低倍率から高倍率への切り替えを自動で行うシステム)により、検体の観察・評価に要する時間の短縮が見込まれる。 また、前年度に引き続き、不妊症症例からの精液検体の追加収集および臨床成績の追跡調査を行い、データの蓄積を図る。前年度に行った精子形態分類に基づく症例毎の精子形態評価の結果と臨床成績(妊娠の有無・胚培養結果)との相関を検討していく。 前年度、検体収集のペースに遅延はないが、今年度以降も継続して検体の収集・形態評価行う。AIH症例、体外受精症例がそれぞれ各年とも 約150症例、100症例程度が見込まれ、最終的な目標症例数である各200症例程度の確保が可能であると予想している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
精子染色体評価のための動物実験に要する費用(マウスの購入・飼育費、顕微授精用資材費、染色体標本作製用材料費)および凍結検体保存用液体窒素タンクの購入に使用予定である。
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