2013 Fiscal Year Research-status Report
子宮体癌におけるmiRNA治療薬の開発および診断への応用
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24791718
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢野倉 恵 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (20433732)
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Keywords | 子宮体癌 / miR-34b / パクリタキセル |
Research Abstract |
【目的】microRNAは癌の発症・進展・薬剤耐性に大きく関わることが明らかとなっている。我々は、子宮体癌においてエピジェネティックに発現抑制される癌抑制型microRNAとしてmiR-34bを同定し、子宮体癌細胞に対する抗腫瘍効果および抗癌剤との併用効果を検討した。 【方法】ヒト子宮体癌由来細胞株(HEC-108、HEC-1B、KLE)に対し、段階的に希釈した抗癌剤(シスプラチン、アドリアマイシン、パクリタキセル)を作用させた。miR-34b導入時と非導入時で細胞生存率の変化をMTT法にて解析した。さらに、パクリタキセルに対し抵抗性を示すHEC-1Bをヌードマウスの皮下に移植し腫瘍を形成させた。移植の2週間後から、マウスをパクリタキセル単独群、パクリタキセル+nega-miR群、パクリタキセル+miR-34b群の3群に分け各薬剤を投与し、腫瘍径を経時的に計測した。薬剤投与後28日目に腫瘍を摘出しKi67による免疫染色を行った。 【成績】3種の子宮体癌細胞株に対し、パクリタキセルを作用させた時は全ての細胞株においてmiR-34b導入時に細胞生存率のさらなる低下が認められた。このような変化は他の薬剤では認められなかった。また、in vivo実験において、薬剤投与28日目にパクリタキセル+miR-34b群は他の群に比し有意に腫瘍径の縮小が認められた(P<0.05)。Ki67染色の結果、パクリタキセル+miR-34b群はパクリタキセル+nega-miR群に比し、染色陽性細胞数の減少傾向が認められた(P<0.1)。 【結論】miR-34bは、子宮体癌においてパクリタキセルの感受性を特異的に増強させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた本年度の研究計画を、ほぼ予定通りに行うことが出来た。本年度は、特定のmicroRNAが子宮体癌のバイオマーカーとなり得るか、単独で抗腫瘍効果があるか、既存の抗癌剤との併用による抗腫瘍効果の増強が認められるか、の3点に注目して解析を行う予定であった。 解析したmiR-34bは、子宮体癌細胞に対し単独での抗腫瘍効果は低いものの、既存の抗癌剤と併用することで、抗癌剤に対する感受性を増強することが可能であった。残念ながら、子宮体癌のバイオマーカーの発見には至らなかったが、今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、子宮体癌のバイオマーカーとなり得るmicroRNAの同定を試みる。内膜細胞診検体、血液、エクソソーム分画等からmicroRNAを抽出し解析する。
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