2012 Fiscal Year Research-status Report
ハイリスクHPV型のタンパクを標的とした新たな分子標的治療に関する基礎的検討
Project/Area Number |
24791719
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大野 暁子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (70383883)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | HPV |
Research Abstract |
当初、IgGシグナルペプチド(ss)-antenapedia 由来の細胞膜移行シグナル(Atp)-E7由来myc結合ペプチド(MycB)-E7由来Rb結合ペプチド(RbB)-5量体化COMPドメインペプチド(COMP)-6xHisタグおよび各種欠失体を発現するplasmid発現ベクターを作製し実験に供していたが、遺伝子導入効率が安定せず、その性能評価が難しかった。そのため、将来的な実験動物への投与も考慮し組換えアデノウィルスベクターの作製を試みた。その結果、ss-Atp-MycB-RbB-COMP, ss-Atp-MycB-COMP, ss-Atp-MycB-RbB-COMPは作製出来たが、ssがないAtp-MycB-RbB-COMP構成のアデノウィルスベクターは作製出来ていない。この理由として、ウィルスパッケージ細胞(HEK293)内に蓄積する当該ペプチドの毒性のためだと思われる。 また、HPVE6タンパク質には細胞内タンパクに対する結合ドメインが明らかになっていないため、高次構造予測から重複する5つの領域に分断し、ss-Atp-MycB-RbB-COMPのAtpとMycB間に組み込んだ遺伝子を作製し、アデノウィルスへの組み込みを行った。これらのウィルスを3種の子宮頸癌細胞(HPV18陽性HeLa細胞、HPV16陽性CaSki細胞、HPV陰性C33a細胞)と陰性対照のヒト子宮外陰部上皮癌由来のA431細胞に感染させ、細胞障害性を検討した。その結果、HeLa細胞には全てのウィルスで傷害性が認められ、A431細胞には調べた3種のウィルスでは影響が観察されなかった。現在、ウィルス力価を揃えて定量的な評価を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部作製出来ていない組換えアデノウィルスはあるが、ss-Atp-MycB-RbB-COMPという構成はHPV陽性細胞への細胞障害性を確認出来た。ただし、発現するペプチドは137アミノ酸と大きくペプチド創薬に至るにはその縮小が課題である。現在、Atp、MycB、RbBを含まない構成ペプチドを発現するアデノウィルスを作製中で、これにより不要な領域を削除していきたい。 また、HPV18E6タンパクのある領域も細胞障害性に寄与する可能性が示唆されており、今後領域の縮小を行って行きたい。また、この領域に結合する細胞内タンパク質の同定も新たな治療標的の発見につながる可能性もあり興味深い。
|
Strategy for Future Research Activity |
精製したアデノウィルスを用いて定量的な細胞障害性を強度・特異性から評価し、より効果的なペプチド配列を決定していく。具体的にはAtp、MycB、RbBを含まない構成ペプチドを発現するアデノウィルスおよびHPV18E6タンパクのある領域を短くしたものを発現する組換えアデノウィルスを作製する予定である。 さらにCOMPドメインを除いて40アミノ酸程度に絞り込めたら、合成ペプチドを作製し、それによる細胞障害性を評価する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、上記に述べた研究遂行に必要な試薬類などの購入に次年度に請求する研究費と合わせて使用する。
|