2013 Fiscal Year Research-status Report
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24791721
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 明花 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60445236)
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Keywords | 卵管 / 幹細胞 / side population |
Research Abstract |
本研究の当初の目的は、ヒト卵管における成体幹細胞システムの基礎的解明を進めていくと同時に、多角的な臨床応用を目指して、卵管幹細胞分離法の確立を通じて、幹細胞を標的にした新しい治療法の開発であった。ヒト卵管上皮からの幹細胞候補集団であるSP (side population) 細胞の分取とその機能解析を行う予定であったが、ヒト卵管検体の入手が困難であり、今年度も適切なヒト卵管組織が得られなかった。そこでラットやマウスなどの齧歯類の卵管からのSP細胞の分取を検討したが、そもそもヒト子宮内膜でもSP細胞の比率は2%前後であり、齧歯類で且つ内膜より小さい組織である卵管からのSP 細胞の分離は極めて困難であり、分取できたとしても次の解析に供するだけの十分な細胞量が取れないと判断し、戦略を変更した。SP分取法よりは表面マーカーによる分取の方が細胞のダメージが少なく効率が良いため、内膜SP細胞に高発現する遺伝子を以前に行ったマイクロアレイデータを用いてin silico解析を行った。この解析から抽出された候補マーカーで分取できた場合、そのin vivo多分化能の検証が幹細胞特性の証明に必要である。そのためには、免疫不全マウスの体内での卵管組織再構成系に標識した卵管幹細胞を混在させてその振る舞いを追跡する必要がある。微少量の細胞への遺伝子導入を検討したところ、培養せずに直接ウイルス液と混合して遠心することで、効率的に遺伝子導入が可能であった。また、ヒト子宮内膜細胞による同様の再構成系ににおいて、細胞追跡法が可能であることも判明し、そのシステムの更なるブラッシュアップを通じて、卵管再構成系のシステム開発を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度も、ヒトのみならず齧歯類からも卵管上皮SP細胞の分離に至らず、その前段階で留まっている点から「(4)遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に前後して、W5C5という単一のマーカーを用いて内膜幹細胞を分取出来るという報告がなされた。上述の通り、以前に行った独自のアレイデータを用いて候補マーカーの絞り込みは続行する一方、ヒトおよび齧歯類の卵管組織をW5C5に対する抗体を用いて免疫組織化学による検討を行い、その局在を明らかにする。また、W5C5を用いてヒトあるいは齧歯類から幹細胞候補の分離を試みる。その微少量のW5C5陽性細胞を卵管細胞全体と混在させてin vivoおよびin vitroでW5C5陽性細胞の振る舞いを検討する。これにより新たな研究の展開が期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
戦略の変更を余儀なくされたため、予定していた研究費を全て使用できなかった。 新しい研究戦略のもと、次年度の研究費と併せて、消耗品購入などに充てる予定である。
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