2012 Fiscal Year Research-status Report
フェノーム解析を用いた子宮内膜幹細胞マーカーの探索
Project/Area Number |
24791722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小田 英之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50445235)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 子宮内膜 / フェノーム |
Research Abstract |
本研究では、ヒト子宮内膜幹細胞を効率的に得るための有用なマーカーの探索・開発を目的として、フェノーム解析に基づきその候補としてWnt7aを選出し、Wnt7aとその関連分子を幹細胞特性に関連付けて解析を行う予定であった。しかしながら、本研究の開始前後より、子宮内膜の再生などにおけるWnt7aの役割に関する論文が複数発表され(Fan, et al., Endocrinology, 2012; Santamaria, et al., Endocrinology, 2012)、その先行研究があるなかでの研究継続は困難と判断した。そこで、Wnt7aではなく別の候補分子に着目して、研究計画で提案した解析を行うこととした。既にわれわれは、内膜幹細胞の最有力候補集団である内膜side population(SP)細胞のmRNA発現プロファイルのデータを有しているので、その中でSP細胞に強く発現している表面抗原マーカーCD93を候補分子とした。まず、正常子宮内膜におけるCD93の発現・分布を検討したところ、幹細胞が存在すると考えられている基底層付近に比較的豊富に発現していた。詳細に検討すると、CD93陽性細胞は主に子宮内膜血管の内皮あるいはその近傍に存在していた。この分布は内膜SP細胞とほぼオーバーラップしていると考えられるABCG2陽性細胞の分布と一致していた。そこで、CD93を指標にヒト子宮内膜から前方視的にセルソーターを用いて、ヒト子宮内膜CD93細胞を分取して、コロニー形成能および脂肪や骨への多分化能を検出するアッセイに供した。そのなかで、CD93細胞が非CD93細胞に比べて、コロニー形成能および多分化能が顕著な内膜検体も存在したが、安定した結果は得られず、CD93の内膜幹細胞特性における役割についての結論は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
解析対象候補分子をWnt7aからCD93へと方向転換したため、時間的制約からもCD93については十分な検討が出来ていない。ただし、CD93陽性細胞が幹細胞であるならば、少なくとも我々が行ったin vitro幹細胞アッセイ系のいずれかでは安定的にポジティブな結果が得られると考えられるので、その点でCD93 は最優先に解析すべき候補分子ではないと思われる。従って、われわれのマイクロアレイのデータベースから、また新たに候補分子を抽出する段階から開始しなければならない点で、「遅れている」とした。また、平成24年4月~7月にかけて研究室が移転したことも研究が当初の予定から遅れた一要因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、われわれのアレイデータベースのなかで、ホメオボックス遺伝子であるHEXが内膜SPで強く発現していることが分かっており、RT-PCRによる検証でも確かめられている。今後は、これに着目して、免疫染色により子宮内膜組織での発現・分布を確認する。その発現が幹細胞を示唆するものであれば、機能的な解析へと展開することで、今後の研究を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Wnt7aからCD93に候補分子を変更したために、その時間的ロスにより、十分な解析まで踏み込めず、繰越が生じた。上述した通り、HEXの解析、さらにはCD93およびHEX 以外の他の候補分子の探索・解析に繰越金と今年度研究費を併せて使用する。
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[Journal Article] Psychological adjustment and psychosocial stress among Japanese couples with a history of recurrent pregnancy loss.2012
Author(s)
Kagami M, Maruyama T, Koizumi T, Miyazaki K, Nishikawa-Uchida S, Oda H, Uchida H, Fujisawa D, Ozawa N, Schmidt L, Yoshimura Y
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Journal Title
Hum Reprod.
Volume: 27
Pages: 787-794
DOI
Peer Reviewed
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