2013 Fiscal Year Research-status Report
フェノーム解析を用いた子宮内膜幹細胞マーカーの探索
Project/Area Number |
24791722
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小田 英之 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (50445235)
|
Keywords | 子宮内膜症 / 子宮内膜癌 / モデル動物 / 幹細胞 |
Research Abstract |
子宮内膜幹細胞の候補マーカーとして、これまでWnt7aおよびCD93に着目して in silico、in vitro、in vivoでの解析を行ってきたが、先行研究の出現やマーカーとしての要件を満たさないなどの理由から、解析対象から除外した。そこで、以前のDNAマイクロアレイのデータで抽出されたホメオボックス遺伝子であるHEXを解析対象候補としたが、RT-PCRにより必ずしも一定の発現が得られないことから、戦略を変更した。すなわち、子宮内膜症および子宮内膜癌モデルマウスの作成をまず行い、その構築組織における幹細胞の振る舞いとマーカーとの挙動を関連付けて解析することを目指した。内膜症モデルとして、内膜症の起源細胞と考えられるヒト正所性子宮内膜を細胞レベルまで分散して免疫不全マウスの腹腔内に注入した。しかし、十分に腹腔内に生着しないため、磁性体を用いて腹腔内の任意の場所に内膜細胞を集積し局在させることで、生着を促す戦略を考案した。磁性体で釣り上げるマーカーとして非機能膜型受容体 (membrane X receptor, mXR)を選択し、このmXR、発光蛋白CBR、および蛍光蛋白GFPの3つを同時に発現することが可能なレンチウイルスをヒト子宮内膜細胞に感染させた。ところが、内膜の初代培養細胞は感染効率(遺伝子導入率)が低いうえに、手術検体からの入手や取扱いが容易でなく、この戦略の妥当性と実行性に関する十分な検証が出来なかった。そこで、それらに代えて、内膜由来の不死化細胞株および癌細胞を用いて、同様の手法により、先ず上記3つの蛋白を同時に且つ安定的に発現する細胞集団を得た。これを腹腔内に投与した後、磁性体でin vivoでの細胞集積を行ったところ、腹腔内に一定の生着が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初目標とした幹細胞マーカーの同定には至らず、研究計画の後半で行う予定であった内膜組織再構成と内膜由来疾患モデルマウスの作成に着手している点で、「(4)遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜症および子宮内膜癌の腹膜播種モデルを作成するうえで、磁性体を用いる戦略の妥当性と実行可能性を支持する基盤知見と基盤技術が得られたので、さらに改良を重ねてより安定的で再現性の高いシステムの構築を目指す。その研究の進展と併せて、幹細胞候補集団にレンチウイルスを用いてCBRとは別の種類の発光蛋白を発現するような仕掛けをすることで、そのモデルのなかで、幹細胞の振る舞いを追跡できる系を確立する。その振る舞いと、以前のアレイデータで候補となっているCD93やHEX以外の残りの幹細胞マーカーとの挙動を照らし合わせながら、内膜・内膜症・内膜癌のそれぞれの幹細胞のマーカーを同定していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
戦略の変更を余儀なくされたため、予定していた研究費を全て使用できなかった。 新しい研究戦略のもと、次年度の研究費と併せて、消耗品購入などに充てる予定である。
|
Research Products
(7 results)