2014 Fiscal Year Annual Research Report
心疾患合併妊娠の管理医療の開発:抗プロラクチン療法のヒト臨床-動物基礎複合的研究
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24791734
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
神谷 千津子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (10551301)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心疾患 / 妊娠・出産 |
Outline of Annual Research Achievements |
心疾患を持つ女性にとって、ダイナミックに循環動態が変化する妊娠・出産はリスクとなる。一方、循環器医療の進歩や妊婦の高齢化により、心疾患女性の妊娠が増加している。少子化に直面する我が国では、このような合併妊娠における安全性の確保が、極めて重要と考える。そこで、本研究は、心疾患合併妊娠のヒト臨床およびモデル動物において、周産期血管障害性が知られている切断プロラクチンを柱とした病態生理の解明を目的とした。 ヒト臨床研究では、心疾患合併妊娠(70例)における切断プロラクチン値が、正常妊娠よりも妊娠中、産後1カ月に有意に増加していた(心疾患合併vs正常妊産褥婦:妊娠中3.8vs1.0 FU、産後1カ月5.3vs1.8 FU)。また、心疾患合併妊娠57例において、産褥期に心血管イベントを合併した症例は、母乳授乳を行った43例中8例であったのに対し、母乳授乳を行わなかった14例では0であった(p=0.18)。 次に連携基礎研究では、マウス心臓重量/脛骨長が、未経妊7.2mg/mm<分娩直後8.8mg/mm<分娩10日後9.9mg/mmと授乳期に最も重い結果であった。また、免疫組織染色により、切断プロラクチンが毛細血管>心筋細胞に局在していること、心筋組織のWestern blotにより、未経妊で検出されない切断プロラクチンが、分娩直後~分娩10日後に増加していることが明らかになった。一方、培養心筋細胞に切断プロラクチンを付加しても血管新生促進因子の抑制を認めず、心筋細胞のミトコンドリア活性にも無関係であった。 以上から、心疾患合併妊娠患者、モデル動物において、母乳授乳中に切断プロラクチンは増加しており、ヒトではより産褥心血管合併症が多い傾向と動物では心重量の増加を認めた。切断プロラクチンは血管内と心筋細胞内、とくに毛細血管内に多く局在していたが、血管障害性を直接的に示す結果は未だ得られず、今後のさらなる研究が必要と考えられた。
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Remarks |
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Research Products
(6 results)