2013 Fiscal Year Research-status Report
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24791736
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
野村 研一郎 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00466484)
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Keywords | 喉頭麻痺 / 機能的電気刺激 |
Research Abstract |
一側喉頭麻痺による発声障害の治療は主に声帯内注入術、甲状軟骨形成術I型、披裂軟骨内転術が行われている。これらの治療法は麻痺側の声帯を正中位に静的に矯正することが目的であるため、完全回復には至らない。我々は今までに機能的電気刺激(FES)を用いた麻痺喉頭の再運動化に関する研究を行ってきた。近年の研究により、麻痺喉頭には過誤支配や吻合枝からの神経支配が存在し、内喉頭筋にはある程度の神経支配が高率に残存していることが明らかとなっている。したがって、麻痺側の甲状披裂筋に適正なタイミングで筋収縮を誘発するような電気刺激を加えることができれば、声帯が内転し発声障害を改善することができると考えられる。FESを用いた治療を可能にするためには、ターゲットとなる筋肉に最適なサイズの電極を適切な位置に固定し、刺激装置を体内に留置することが必要となる。その上で最適なパラメーターで刺激を与えて筋収縮を誘発することが可能となる。 声門閉鎖筋へのFESを可能とするために、我々はこれまでに新たな形状の埋め込み型電極を開発し、イヌを用いて声門閉鎖運動が誘発可能である事を示した。今回、新たに体内に埋め込み可能な刺激装置を開発した。実験にはビーグル犬を用いた。全身麻酔後に前頸部を切開し甲状軟骨を露出した。甲状軟骨に甲状軟骨形成術I型と同様に声帯の高さで開窓を行った。刺激電極を開窓部に留置し、刺激パラメーターは周波数40Hzで刺激強度を変化させた。喉頭の観察は経口的に内視鏡で行い、それぞれのチャンネルを介した電気刺激による声帯の位置を評価した。新たに開発した刺激装置からの電気刺激により声帯の内転が誘発可能である事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに新たな形状の埋め込み型電極を開発し、イヌを用いて声門閉鎖運動が誘発可能である事を示した。ただし今後ヒトへの応用が可能となるためには、電極、リード線の耐久性、安全性の確認と刺激装置の小型化が必要不可欠である。現在、産学連携を通じてこれらの装置を開発中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、改良した刺激装置を用いて、イヌに長期間の埋め込みを行った慢性実験を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
産学連携を通じて、埋め込み型の刺激装置を作成中であるが、精密器械の新規作成には時間がかかるため今年度中には納品されず、次年度に繰り越しとなったため。 現在作成中の刺激装置の支払いに使用する予定である。
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