2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規パッチクランプ原子間力顕微鏡によるPrestin構造変化の分子メカニズム解明
Project/Area Number |
24791739
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
村越 道生 鹿児島大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (70570901)
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Keywords | タンパク質 / 走査プローブ顕微鏡 / 生物・生体工学 / 外有毛細胞 / Prestin |
Research Abstract |
本年度は,まず昨年度からの課題である「Prestinの多量体構造の制御法」について検討を行った.多量体構造制御に必要な高密度prestin脂質膜を作製するには十分量のprestin分子が必要である.そこで現状の発現系について検討を行ったところ,2 Lの培養液中に培養した200億個の細胞から精製できるタンパク質は約84 ugであり,不十分であることが明らかとなった.今回使用した培養細胞におけるprestinの発現密度から,精製効率は6-7割程度と見積もられる.したがって,発現系の改良に取り組み,発現効率を外有毛細胞における発現密度と同程度(現在の約20倍)に向上させる予定である.その後,精製過程の見直し(新規ペプチドタグ導入等)に取り組み精製効率の向上を目指す. 「Prestinの変形状態の制御法」に関しては,昨年度開発した膜電位コントロールデバイスを用いた電気特性計測及び表面微細構造観察に関する検討を行った.膜電位コントロールデバイス基盤の微小ポア(直径2 um)上に,人工脂質膜を形成することを試み,脂質膜形成後に,2 GΩの電気抵抗(すなわちギガオームシール)が形成されることが確認された.このことは,開発したデバイスを用いて細胞膜電位をコントロールしながら細胞膜表面膜タンパク質の変形挙動を可視化できることを示唆している.今後,当該研究計画で開発したデバイス及び得られた知見を基に,人工脂質膜中に精製プレスチンを再構成し,その電気特性の計測と変形挙動の可視化に取り組む計画である. 全体計画の進捗は,当初計画に対して遅れたものの,計画遂行に必要不可欠な課題とその解決策が明確となった.早期に高密度prestin脂質膜の作製を達成し,さらに開発した膜電位コントロールデバイスを用いた「Prestinの運動能(機能)評価」を実施する計画である.
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