2012 Fiscal Year Research-status Report
加齢および慢性炎症による細胞障害が誘導するDアミノ酸発現の解明
Project/Area Number |
24791743
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 祐輔 山形大学, 医学部, 助教 (50466629)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | D-アミノ酸 |
Research Abstract |
生体内には存在しないと考えられてきた遊離型D-アミノ酸およびD-アミノ酸含有タンパク質、特に組織の機能の分化と成熟に関連し老化や加齢による活性酸素や慢性炎症などのストレスの影響により生じると考えられるD-アスパラギン酸について、耳鼻咽喉科領域の様々な疾患における発現様式とその機能的役割を主に免疫組織学的に評価し解析することを目的とする研究である。本年度は手術加療にて摘出した口蓋扁桃に対しD-Asp特異抗体による免疫組織化学染色をおこない、D-アミノ酸発現部位や発現量の解析を年齢・疾患別に行った。小児の睡眠時無呼吸症候群、慢性扁桃炎症例ではD-アミノ酸はほとんど認められず、高齢のIgA腎症症例に多く発現していることを明らかにした。また慢性扁桃炎症例はリンパ濾胞に、IgA腎症症例は濾胞周囲の間質組織や管腔内に、強い免疫反応を認める傾向があった。さらに、D-アミノ酸発現量と年齢に有意な相関関係を認めた。 次にD-アミノ酸発現の機序とステロイドの影響を検討するためにIgA腎症症例をステロイドパルス前、ステロイドパルス後に分け、各々に免疫組織化学染色を施行した。その結果、ステロイドパルス前後では特にD-アミノ酸発現量、発現パターンに有意な差は認められず、アラキドン酸カスケードの下流にあるプロスタグランジンやロイコトリエン、またストレスや紫外線などの刺激で活性化されるNF-κBとは関連が低いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口蓋扁桃における免疫組織化学染色による解析は予定以上に進行しているが、口蓋扁桃以外の耳鼻咽喉科領域の組織については今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
口蓋扁桃以外の耳鼻咽喉科領域の組織、例えば声帯ポリープ、鼻ポリープ、真珠腫などに対し免疫組織化学染色を行う。また、D-アスパラギン酸以外にもD-セリンやD-アスパラギン酸オキシダーゼについても免疫組織化学染色を行う。さらにウエスタンブロッティング法を施行しD-アミノ酸発現量を定量的に評価する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
免疫組織化学染色を行うための物品費、ウエスタンブロッティング法を行うための物品費、研究成果を学会にて発表するための旅費などに使用する予定である。
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