2013 Fiscal Year Research-status Report
加齢および慢性炎症による細胞障害が誘導するDアミノ酸発現の解明
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24791743
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 祐輔 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (50466629)
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Keywords | D-アミノ酸 / 老化 |
Research Abstract |
昨年度は口蓋扁桃のD-アミノ酸発現を免疫染色にて解析し、加齢と共に発現量が増えることを明らかにした。またIgA腎症患者の口蓋扁桃の比較によりステロイドパルス前後でのD-アミノ酸発現に差はなくアラキドン酸カスケードの下流にあるプロスタグランジンやロイコトリエン、またストレスや紫外線などの刺激で活性化されるNF-κBとは関連が低いことが明らかとなった。 本年度は口蓋扁桃のみならず、その他の耳鼻咽喉科領域の臓器・組織にも着目し真珠腫、鼻ポリープ、声帯ポリープ、顎下腺などの免疫組織化学染色を行いD-アミノ酸発現の解析を行った。真珠腫については先天性真珠腫と後天性(2次性)真珠腫における発現の差異を解析した。その結果、先天性真珠腫では真珠腫の上皮(角化層)にD-Asp免疫反応を認め、後天性真珠腫症例では間質内に強い免疫反応を認めた。コレステリン周囲にも淡い免疫反応を認めた。また角化層上皮や間質管腔内にも反応を認めた。特に高齢者症例においては主に間質に免疫反応を認め、骨(硝子化部位)にも反応が認められた。以上よりD-アミノ酸発現と宿主の老化現象との関連は低く、炎症の程度や罹患期間との関連が強いことが示唆された。また、角化層の最表層部において免疫反応が最も強くなる症例が多いということも、炎症の程度や活動期間とD-アミノ酸発現量・発現パターンが関連していることを示唆させる結果であった。 鼻ポリープについては好酸球性副鼻腔炎と非好酸球性副鼻腔炎における発現の差異を解析し、その生成や臨床的特徴を解明する一助となりえるかどうかを検討中である。顎下腺についてはIgG4関連硬化性疾患に着目し、IgG4とD-アミノ酸の関連性や、繊維化の指標であるペリオスチンとD-アミノ酸との関連性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各組織、臓器の免疫組織化学染色はおおむね順調に進展している。さらに症例数を重ねることが重要であるが検体数は充分数確保できる見込みであり、また染色方法も確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
各組織の免疫組織化学染色の結果をまとめ、考察を加える事により今後の課題や検討項目を明らかにする事が重要である。また、免疫組織化学以外でも、加齢やストレス等によるDNA障害の程度とD-アミノ酸との関連性を評価する指標を検索することも必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費や謝金として割り当てた額を一切使用しなかったためその分が次年度使用額となった。 積極的に学会に参加し意見交換やディスカッションをおこない自身の研究にフィードバックする。また、計画では購入する予定であった電気泳動パッケージやアポトーシス検出キットなどがまだ未購入のため次年度は物品費が増えることが予想される。
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