2013 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性副鼻腔炎における局所IgE産生のメカニズムと病態生理への関与の解析
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24791747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 信太郎 東京大学, 医学部附属病院, 客員研究員 (90553719)
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Keywords | 慢性副鼻腔炎 / 鼻ポリープ / 好酸球 / IgE / クラススイッチ / サイトカイン |
Research Abstract |
好酸球性副鼻腔炎は鼻茸の再発を高率に認める難治性の副鼻腔炎である。その病態生理は依然不明な点が多いが、局所におけるIgEの過剰産生が好酸球の遊走と活性化、およびこれによる粘膜傷害の惹起に関与することが近年示唆されている。本研究では、各炎症細 胞の細胞動態の組織学的解析および組織中のサイトカインの発現解析を通じて好酸球性副鼻腔炎病変におけるIgE産生増加の分子メカニズムの解析、およびこれが好酸球性病変を悪化させる分子メカニズムについて検討を行った。 IgEクラススイッチにかかわる因子について、IL-5、IL-13の定量PCRでは好酸球性副鼻腔炎群ポリープで他群に比べて優位に発現上昇、IL-4については各群で有意差を認めなかった。IL-4、13の共通のレセプターであるIL-4レセプターはmRNAレベルで好酸球性、非好酸球性群とも副鼻腔炎群でコントロールより優位に発現低下を認め、IL-13上昇によるダウンレギュレーションが示唆された(Mann-Whitney U test。また、IgEクラススイッチの存在を直接証明できる因子であるεGLT、AIDではmRNA定量においてAIDについては各群で差は見られなかったが、εGLTについては好酸球性群で有意に発現増多を認めた。また鼻粘膜局所での抗体産生を証明するRAG2についても好酸球性副鼻腔炎群にてmRNAレベルで発現増多を証明した。これにより、好酸球性副鼻腔炎症例の鼻粘膜局所でのIgEへのクラススイッチと抗体産生が証明でき、これは日本をはじめとするAsian populationでの最初の報告となった。 また、鼻粘膜局所でのIgE産生細胞はIgEと各炎症細胞での蛍光二重染色を行い、形質細胞より産生されていることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
好酸球性副鼻腔炎の局所における細胞動態、サイトカイン動態を解析し上記の成果を得た。この研究結果をもとに国内学会、国際学会で発表を行い、英文論文2本が2014年度に掲載予定されている。
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Strategy for Future Research Activity |
好酸球性副鼻腔炎症例ではポリープ中のIgE増多を認め、組織中のIgEは主に形質細胞で産生され、Mast cellに分布しFcεR1を介して作用する可能性があると考えられた。 好酸球性副鼻腔炎症例ではポリープ局所でのIgEクラススイッチの促進が示唆された。また、非好酸球性副鼻腔炎ではIgG mature transcriptsが有意に発現上昇しており、IgG増多が病態形成に関与していることが示唆された。以上より好酸球性副鼻腔炎の病態形成にIgEが非好酸球性副鼻腔炎にはIgGが関わっている可能性が示唆された。 今後は増多したIgEのターゲットとなっているMast細胞の活性化様式、細胞動態を解析していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請研究は3年間の予定であったため。 次年度は研究の最終年度につき、引き続き、試薬や消耗品の購入や論文掲載費などに使用を予定している。
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