2012 Fiscal Year Research-status Report
喫煙モデル動物の作製と喉頭における神経原性炎症ネットワークの解明
Project/Area Number |
24791749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10597131)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 喫煙 / 喉頭 / 酸化ストレス / 神経原性炎症 / TRP受容体 |
Research Abstract |
本研究は喫煙が誘因となる喉頭病変の病態生理解明のため、喫煙モデル動物の作製法を確立し、さらにTRP(transient receptor potential)チャンネルを介した神経原性炎症反応を中心に炎症による組織変化とそれに関与する分子メカニズムを解析し、最終的にはこれらのメカニズムを抑止する臨床応用可能な治療法の開発の可能性を探ることを目的とした。 初年度はタバコ煙溶液(Cigarette smoke solution:CSS)を用いて、マウス・ラットでの喫煙モデル動物作製における至適な曝露条件を決定し、喫煙モデル動物の作製法を確立した。8週齢のBL/6マウス(20~30g)とSDラット(300g前後)を使用し、鼻腔から呼吸に合わせてCSSを点鼻し吸入させた。3回/週、4週間投与するグループと、5回/週、4週間投与するグループ、4日投与1日休みのサイクルで20回投与するグループに分けて喫煙モデルを作製したところ、何れも正常マウス・ラットと比較して明らかに肺の気腫状変化を認めたが、喉頭の組織変化を認めたのは4投1休のグループであった。 喫煙モデルラットでは、CD3陽性リンパ球浸潤がコントロール群と比較して有意に多く、Ki67陽性細胞も有意に多かったことから、喫煙による慢性炎症により細胞増殖が活性化されていることが明らかになった。 今後、抗TRP抗体,抗SP抗体,抗CGRP抗体を用いて免疫組織学的に粘膜上皮における発現を検証し、喉頭部位別に知覚神経の分布や神経ペプチド、炎症細胞分布を比較することで、喫煙による知覚神経への影響や炎症性組織変化に対する検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
喫煙モデル動物作製における至適な曝露条件を決定し、喫煙モデル動物の作製法を確立したことからおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
喫煙モデル喉頭における神経原性炎症に関する研究を進める。具体的には、TRPV1とTRPA1の発現や神経ペプチド(SP・CGRP)の発現に関する免疫組織学的検討、さらに炎症細胞浸潤(好中球・リンパ球・好酸球など)の免疫組学織的・統計学的検討や、喉頭部位別、神経・炎症細胞分布の比較検討を行う予定である。 酸化ストレスによる組織障害に関する研究として、酸化ストレス作動性TRPチャネルの発現と炎症細胞浸潤に関する免疫組織学的検討や、酸化ストレスマーカーを用いた免疫組織学的検討を考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、実験動物の購入・維持費用、実験試薬としてタバコ煙溶液、抗体、蛍光色素、電気泳動関連試薬、分子生物学的試薬の購入費用が必要である。また、本研究の成果を専門学術誌へ掲載するための投稿料、英文校正費用が必要であり、さらに学会で発表を行う予定であり、これらに関わる費用を計上している。特に次年度は多くのモデル動物を作製する予定である。
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