2013 Fiscal Year Research-status Report
喫煙モデル動物の作製と喉頭における神経原性炎症ネットワークの解明
Project/Area Number |
24791749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10597131)
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Keywords | タバコ / 喫煙 / 禁煙 / 喉頭 / 炎症 / 嗅覚 / 嗅細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
初年後に作製した喉頭の喫煙モデル動物(SDラット、雄8~12週齡)を用いて、喫煙と禁煙による影響に関して、喉頭気管・肺における組織学的検証を行なった。タバコ溶液を用いて喫煙モデルを作製後、喫煙期間と同じ期間を禁煙させたモデルを作製して禁煙モデルとした。喫煙モデルと禁煙モデルを用いて、CD3などの炎症細胞浸潤や上皮肥厚、細胞増殖マーカーであるKi67陽性細胞の変化、神経特異タンパクの一つであるprotein gene product 9.5の発現変化、そして声帯粘膜下組織の弾性線維や膠原線維の変化に関して解析した。 喫煙モデルの肺組織は、コントロールと比較して肺胞の気腫上変化が強く炎症細胞浸潤を伴っていた。禁煙モデルの肺組織では、炎症細胞浸潤は減少しているものの、肺胞の気腫状変化は継続していた。喫煙モデル喉頭では、粘膜上皮が肥厚、炎症細胞浸潤の増加、Ki67陽性細胞の増加そして声帯粘膜下組織中の膠原線維の増加を認めた。禁煙モデル喉頭では、炎症細胞浸潤は減少したものの、Ki67陽性細胞はコントロールより多く、粘膜上皮肥厚が持続していた。一方、声門部粘膜下組織の膠原線維は減少していた。TNFα、IL1β、IL6,CD3などの炎症関連マーカーは喫煙により有意に増加し、禁煙により減少傾向を示した。線維化関連マーカー(Fibronectin、Osteopntin)は喫煙により増加傾向を認め、禁煙により減少するが一部持続する傾向を示した。分泌腺関連マーカー(MUC5)は喫煙により増加し、禁煙後も増加傾向を示した。 本研究から、喫煙による上皮肥厚・細胞増殖はすぐには改善せず、喫煙後もある程度持続することが判明し、分子生物学的解析も行った。臨床面にあてはめると、喉頭白板症などの上皮角化傾向の患者に対しては禁煙後も注意深い経過観察が必要であることが裏付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に、喉頭喫煙モデル動物の作成目標を達成し、2年目は喉頭組織変化や分子生物学的研究まで幅広く進行し、学会で発表した。最終年度は性差による変化の差異や禁煙後変化に関しても研究を進め、学会発表及び論文投稿していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は性差による変化の差異や禁煙後変化に関しても研究を進め、学会発表及び論文投稿を行う予定である。さらに、喫煙による嗅粘膜障害にもフォーカスをあて、SOX2陽性嗅覚前駆細胞やOMP陽性成熟嗅細胞の変化に関しても検証し、喫煙による喉頭組織及び嗅粘膜への障害に関するメカニズムを組織学的・分子生物学的な解明へ向けて進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費最終年度であり、前年度分と合わせて研究執行予定である。 研究計画に基づき、実験動物や試薬、学会発表や論文投稿などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)