2014 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙モデル動物の作製と喉頭における神経原性炎症ネットワークの解明
Project/Area Number |
24791749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10597131)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 喫煙 / 喉頭 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究で,喫煙モデル喉頭における炎症性組織変化とサイトカインの上昇を解明した.今年度は,さらに禁煙による変化に関して組織学的及び分子生物学的観点から検討した. タバコ煙溶液を用いて喫煙モデルを作製後,喫煙期間とほぼ同じ期間(30日間)未処置としたものを禁煙モデル,3ヶ月未処置としたものを長期禁煙モデルとした.これらのモデルを用いて,組織学的検証を行い,炎症関連マーカーとしてTNF-α,IL-1β,IL-6,CD3e,Monocyte chemotactic protien-1(MCP-1),線維化関連マーカーとしてFibronectin1,Osteopontin,分泌腺関連としてMucin 5,神経関連マーカーとしてNGFの推移をRT-PCR法にて解析した. 禁煙モデル喉頭において組織学的には,炎症細胞浸潤の減少や声門部粘膜下組織の膠原線維の減少を認め,Ki67陽性細胞増加と粘膜上皮肥厚は持続していた.分泌腺においては禁煙後により分泌腺が増加した.長期禁煙モデル喉頭では,組織学的には,炎症細胞浸潤はほとんど認めず,上皮の肥厚はコントロールと同程度に改善した.禁煙群で有意に増加していた分泌腺は,長期筋援群ではコントロールと同程度まで減少した.一方,声門部粘膜下組織の弾性線維の増生を認めた. 炎症関連マーカーはや線維化関連マーカー,NGFは喫煙により増加亜し,禁煙により減少した.分泌腺関連マーカーのMucin 5は,喫煙により分泌が有意に増加し,禁煙後はさらに有意に増加したが,長期禁煙により低下した. 本研究から,喫煙による炎症やそれに引き続く線維化は長期禁煙により改善することが示された.また、禁煙後の分泌増加は,一過性に亢進するものの,長期禁煙により改善することが判明した.しかしながら,粘膜固有層における組織変化を認めたことは今後さらなる検証が必要である.
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Research Products
(2 results)