2012 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部扁平上皮癌における標的分子とバイオマーカー確立を目指した遺伝子解析
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24791751
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蝦原 康宏 東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録医 (50422291)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 頭頸部外科学 / 頭頸部腫瘍 / 頭頸部癌 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
これまでのTP53とEGFRの解析系を発展させ、発癌や癌の悪性化に関連する遺伝子変異、融合遺伝子、ウイルス関連因子を検出してそれぞれ予後解析を行うことを目指している。今年度は手術標本を凍結保存し、QIAamp DNA mini kitを使用してgenome DNAを抽出した。また、過去の手術標本でホルマリン固定・パラフィン包埋されているものはQIAamp DNA FFPE Tissue Kitを使用してgenome DNAを抽出した。今後さらにサンプルのストックを増やし癌遺伝子の変異解析や、ウイルス由来DNAの検出を実施していく予定である。咽頭癌とリンパ節転移を検討する上で、リンパ管浸潤を明確に判定する目的にPodoplanin染色を行った。扁平上皮癌そのものも淡く染色される部分が散見され新規バイオマーカーとしての確立を目指している。腫瘍培養細胞に神経栄養因子であるNGF及び受容体の免疫染色を行った。現在15例程度で染色を行っているが、およそ65%程度の陽性率を認めている。特に神経周囲浸潤が強い腫瘍細胞では強く染色されている傾向にあり、今後症例を増やしさらに検討を進める予定である。また培養細胞にブロッカーを投与し、腫瘍細胞の増殖の変化を観察している。ただし培養細胞の増殖能が悪く、繊維芽細胞が優位に増殖してしまい、まだ癌細胞の増殖変化は十分には観察できていない。今後実験系を工夫し検討を続けて行こうと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手術の検体の集積は順調に増加している。培養細胞での実験系を新規に開始することができた。また、新規バイオマーカーの実験系を構築できたため。ただし、有意な指標となるかは、今後の経過と結果を受けての解析を待つ必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
実験全体像の進捗は順調であるが、当初のターゲットとする遺伝子とは異なる対象を視野にいれ発展させている。頭頸部癌においては部位別、生活習慣により、生物学的基礎(病因)が異なることが考えられる。そのためのバイアスを如何に排除した実験系、解析系を構築していくのかが、有意な科学的結果を得るには肝要と考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の実験内容を発展させていくと同時に、さらなる検体の集積を進める。データ管理、研究アイデアの蓄積をまとめて、当院当科の他研究との相互的発展をめざしていく。
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Research Products
(2 results)