2013 Fiscal Year Annual Research Report
耳石欠損マウスによる耳石形成・吸収メカニズムの解明
Project/Area Number |
24791756
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
本田 圭司 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (90621079)
|
Keywords | 遺伝子 / 神経科学 / 耳石 / Atp2b2 |
Research Abstract |
形質膜カルシウムポンプ遺伝子(Atp2b2)変異マウスの1つであるWriggle Mouse Sagami(WMS)は耳石欠損マウスとして知られており、出生直後には耳石を有しており、加齢と共に消失・脱落することが推定されている。本年度の研究として、WMSマウスの耳石消失過程において有毛細胞の変化を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。WMSマウスの迷路骨包を採取し、4%パラホルムアルデヒドで固定後、卵形嚢および球形嚢平衡斑を採取し、Allexa 568 Phalloidinにて蛍光染色し、Carl Zeisss社製LSM510で有毛細胞感覚毛の分布、形態を観察した。日齢21日のホモ接合体において、球形嚢および卵形嚢平衡斑の有毛細胞はともに変性や脱落を認めなかった。一方日齢90日のホモ接合体では、球形嚢平衡斑の有毛細胞は大部分が脱落していたが、卵形嚢平衡斑は正常な形態を保っていた。ヘテロ接合体では、日齢21日から90日の期間で平衡斑は正常であった。前年度の研究成果として、マイクロフォーカスCTや実体顕微鏡での観察にて、ホモ接合体において日齢21日で球形嚢の耳石が消失し、日齢90日で卵形嚢の耳石も消失したことを報告した。この結果と合わせると、Atp2b2変異マウスは一度耳石が生成された後に加齢とともに耳石が消失し、その後遅れて有毛細胞が変性・脱落すること、およびその過程は卵形嚢と球形嚢とで異なることが示唆された。したがって、Atp2b2遺伝子は耳石の維持機構において重要な役割を担っていると考えられた。
|