2013 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌におけるESRP分子の発現と分子細胞学的意義と臨床応用
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24791764
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石井 裕貴 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (40568250)
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Keywords | ESRP1 |
Research Abstract |
今年度はsiRNAを用いてESRP1をノックダウンした。SAS、HSC4、Ca9-22細胞のノックダウン効率は90-92%と良好であった。まず細胞形態について、ESRP1ノックダウンにて若干細胞同士の接着が弱くなり、scatteringが起こっていた。続いて、ESRP1のターゲット遺伝子であるCD44とMenaのisoformスイッチを確認したところ、ESRP1 knockdownにてCD44 variant⇒standard isoformへ、Mena 11a(+)⇒Δ6の変化が起こっていた。つづいてWound healing assayにてESRP1が癌細胞の運動能にどう影響するか調べたところESRP1ノックダウンしたSASおよびHSC4細胞において運動速度が有意に上昇した。E-cadherinの発現量および局在を確認したところ、ESRP1ノックダウンSASおよびHSC4細胞ではE-cadherinのmRNA量が若干低下するがタンパク量は明らかな低下が見られなかった。局在変化も膜局在のままであった。しかしながらPhalloidin染色により、ESRP1ノックダウンした細胞においてlong fillopodiaの形成が促進されており、細胞の運動能を調整するSmall Gタンパクの一つ、Rac1のスプライシングバリアントである腫瘍特異的Rac1bが上昇していた。PAK-GST pulldown assayにてESRP1をノックダウンすることで活性型Rac1bが上昇してくることも明らかにできた。続いてRac1bを選択的にsiRNAを用いてノックダウンすることでESRP1ノックダウンで上昇した癌細胞の運動能の増加がキャンセルされた。以上からESRP1は選択的スプライシングによりRac1bの発現を抑制することで癌細胞の運動を抑制することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予定通り、頭頸部扁平上皮癌細胞株におけるESRP1が浸潤や運動能の抑制に機能しており、その機序も、選択的スプライシングによりRac1b isoformの発現を抑制する点まで解明できたため当該研究はおおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頸部扁平上皮癌においてESRP1の発現プロファイルおよび機能解析が今年度達成できたため、次にESRP2を同様にして研究していく。具体的にはヒト頭頸部扁平上皮癌の組織におけるESRP2の発現プロファイルを調べ、in vitroでのESRP2のmalignant phenotypeへの影響を検証していく。 ESRP1で運動能を抑制するデータが出ており、ESRP2においても運動能への影響を調べていくとともに足場非依存性増殖なども併せて調べていく予定である。
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Research Products
(2 results)