2014 Fiscal Year Annual Research Report
難聴原因遺伝子変異が前庭機能に及ぼす影響に関する研究
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24791766
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塚田 景大 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (90419375)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 / 前庭機能 / 温度眼振検査 / VEMP |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、特に遺伝性難聴患者の半規管機能、球形嚢機能検査といった平衡機能検査について症例数を重ね実施することで、各遺伝子変異による平衡機能障害のメカニズについて検討を行った。 先天性難聴の代表的な原因遺伝子であるGJB2、SLC26A4、CDH23(非症候群性)の各遺伝性難聴患者の平衡機能検査(温度眼振検査およびVEMP)を実施した。GJB2変異症例 23例、SLC26A4変異症例 10例、CDH23変異症例 9例について検討を行った結果、GJB2変異症例の91%およびCDH23変異症例の89%では、カロリックテスト上では正常を示したが、SLC26A4変異症例の60%程度は反応低下を認めた。VEMPでは、GJB2変異症例を障害する症例(80%)を多数認め、GJB2遺伝子変異症例では球形嚢障害を来しやすい可能性が示唆された。また、GJB2遺伝子変異症例において難聴の程度と前庭機能障害の程度についての相関の有無について検討を行ったが、聴力と温度眼振における最大緩徐相速度およびVEMPにおける補正振幅値に明らかな相関は認めなかった。以上の結果より、遺伝子変異の種類によって、難聴の表現型の特徴と同様に前庭機能についても特徴があることが示唆され、遺伝性難聴の病態の解明と患者に対するより詳細なカウンセリングに有用な情報が得られたと考えられる。 今後さらにそのほかの種類の遺伝性難聴患者の前庭機能検査を実施し、それぞれの原因遺伝子の前庭機能について評価を行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Gene Expression Profiles of the Cochlea and Vestibular Endorgans: Localization and Function of Genes Causing Deafness.2015
Author(s)
Nishio SY, Hattori M, Moteki H, Tsukada K, Miyagawa M, Naito T, Yoshimura H, Iwasa YI, Mori K, Shima Y, Sakuma N, Usami SI.
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Journal Title
Ann Otol Rhinol Laryngol
Volume: 124
Pages: 6S-48S
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Hearing preservation and clinical outcome of 32 consecutive electric acoustic stimulation (EAS) surgeries.2014
Author(s)
Usami S, Moteki H, Tsukada K, Miyagawa M, Nishio SY, Takumi Y, Iwasaki S, Kumakawa K, Naito Y, Takahashi H, Kanda Y, Tono T.
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Journal Title
Acta Otolaryngol.
Volume: 134
Pages: 717-727
DOI
Peer Reviewed
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