2014 Fiscal Year Annual Research Report
難治性上気道炎症性疾患に対する新規治療薬の開発にむけたヘパリンの抗炎症作用の解析
Project/Area Number |
24791770
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小河 孝夫 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90549908)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘパリン / 抗炎症 / 上気道炎症 / 好酸球性副鼻腔炎 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはこれまで、好酸球性副鼻腔炎などの上気道炎症に凝固線溶系因子が深くかかわっていることを明らかにしてきた。今回、臨床現場で広く使用されている抗凝固薬であるヘパリンに注目し、上気道炎症に対する作用を検討した。 ラットにおける検討では、LPS刺激によるラット鼻粘膜の炎症モデルにおける鼻粘膜上皮の杯細胞化生と粘液産生,好中球浸潤は、未分画ヘパリンや低分子ヘパリンの点鼻投与により濃度依存性に抑制され、卵白アルブミンにより作成したラット鼻粘膜アレルギー性炎症モデルにおいても、鼻粘膜上皮に生じた杯細胞化生と粘液産生やが好中球・好酸球浸潤が、低分子ヘパリン点鼻投与により抑制された。 培養気道上皮細胞での検討では、ヒト気道上皮細胞株であるNCI-H292細胞をTNF-α刺激し産生されたIL-8やムチン,MUC5ACmRNAの発現亢進は未分画または低分子ヘパリンにより濃度依存性に抑制された.さらにNCI-H292細胞とヒト好酸球由来の細胞株であるEoL-1細胞を共培養し産生されるムチン(MUC5AC,MUC5B)やサイトカイン(IL-8)産生が低分子ヘパリン添加により有意に抑制された。 以上の結果から、ヘパリンには上気道炎症に対する抗炎症作用があることが考えられる。鼻副鼻腔や中耳腔は点鼻・点耳などにより容易に高濃度の薬剤を局所投与することが可能であり、ヘパリンの点鼻・点耳はこうした難治性上気道炎症に対する新たな局所療法になりうる可能性がある。
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