2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランディンE受容体サブタイプEP2、EP3の聴覚機構における役割の解明
Project/Area Number |
24791771
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松永 麻美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 医員 (00599524)
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Keywords | 感音難聴 / トランスレーショナル研究 / プロスタグランディン / 有毛細胞 |
Research Abstract |
本研究では、突発性難聴治療で汎用されているプロスタグランディンE製剤の作用機序解明を目的とした基礎的研究を行うことをゴールとし、具体的には蝸牛におけるプロスタグランディンE受容体サブタイプの役割を解明するために遺伝子改変動物の聴覚機能および組織学的変化を評価することを目的としている。平成25年度には、病的条件下での解析の基盤となる音響外傷モデルの確立およびプロスタグランディンE受容体サブタイプEP2ノックアウトマウスにおける聴覚機能の変化、蝸牛内有毛細胞求心性神経終末変性モデルの解析を施行した。安定した音響外傷モデル構築のために8 kHzの純音を用い、 110 dB, 1h; 105 dB, 1h; 100 dB, 2h; 100 dB, 1hの合計4モデルをワイルドタイプマウスを用い、各群3-4匹を用いて、聴性脳幹反応閾値の経時的変化を評価した。EP2およびEP3欠損の音響外傷に対する脆弱性評価のためワイルドタイプでは一過性閾値上昇を示す条件を策定することを目的とした。一過性閾値上昇クライテリアとして、音響曝露24時間後に15 dB以上の閾値上昇が認められ、2週間後に10 dB以内に閾値が回復している状態と定義づけた。結果、100 dB, 2hの条件ですべての動物が一過性閾値上昇を示すことが確認された。この条件でのEP2ノックアウトマウスでの検討では、ワイルドタイプと比較して優位の差は認められなかった。音響外傷以外の病的な条件として加齢性難聴についての検討を行った。週齢4、12、48での聴性脳幹反応閾値をワイルドタイプ、ヘテロ、ホモの間での比較検討を行った。結果、各週齢での聴覚閾値の有意の差は認められず、結論としてEP2は聴覚機能に大きな役割を果たしていないことが示された。有毛細胞喪失以外の感音難聴メカニズムに対する解析方法として、マウス器官培養およびモルモット音響外傷モデルでの内有毛細胞求心性神経終末変性について評価を行い、基盤となる解析モデルを確立した。
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