2012 Fiscal Year Research-status Report
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24791772
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
滝本 泰光 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00624298)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | セロトニン受容体3 / セロトニン / 内耳 / 平衡感覚 / 聴覚 |
Research Abstract |
H24年度は予備実験で得られたデータが確実であることを確認しさらに詳細に評価した。そしてセロトニン受容体3 KO マウスを用いた in vivo な表現型の解析を行うために平衡機能検査装置の作成、他覚的聴力検査の準備を行った。詳細を以下に示す。 1.正常マウス内耳のにおけるセロトニン受容体3遺伝子の発現:局在をRT-PCR、in situ hybridization法を用いて確認した。その結果、前庭神経節、らせん神経節に主にセロトニン受容体3遺伝子が発現していることが解った。また、成長にともなう評価も行い胎生期から幼若期を経て成熟マウスにかけて継続して発現していることを確認した。また、内耳においてセロトニン受容体3遺伝子のリガンドであるセロトニンの存在を示すデータを免疫法染色法を用いて得た。つまりセロトニンおよびセロトニン受容体3遺伝子が末梢での聴覚平衡感覚の伝達に関わっている可能性が強く示唆された。 2.平衡機能検査装置、他覚的聴力検査の準備:マウス用回転検査装置は回転刺激にて主に半規管機能を評価することに用いる。作成中の回転台にCCDカメラを準備しマウス頭部を固定した後、眼球をCCDカメラで撮影しその映像を三次元解析できる体制を整えた。頭部固定や眼球を有効に撮影することなど難渋する点が多かったが工夫を重ね予備実験では解析可能の段階である。今後はセロトニン受容体3AKOマウスの解析を行っていく。ABR、DPOAEは聴力機能の評価に用いる。こちらは既に準備できており、現在既にセロトニン受容体3AKOマウスの解析を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24度は1.正常マウス内耳のおけるセロトニン受容体3遺伝子の発現の確認 2.平衡機能検査装置作成、他覚的聴力検査の準備を行った。1.に関しては詳細な局在も判明し、末梢神経伝達には欠かせない神経節に発現していたことを証明し分子生物的な解析はほぼ終了した。2に関しては作成と準備は順調に進行しており一部実験施行段階に入っている。おおむね順調に予定どおり進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は以下を予定している。 1.セロトニン受容体3 KO マウスを用いた in vivo な表現型の解析:H24年度に作成した回転検査装置を用いて半規管機能を評価する。準備したABR、DPOAEを用いて聴覚機能を評価する。また、直線刺激装置の作成にも着手し完成すれば耳石器機能の評価も行う。本研究の中心となる解析である。正常マウスと KO マウスを比較することでセロトニン受容体3の機能解析をおこなう。またセロトニン受容体3 KO マウスについては、内耳の形態異常が存在するかもしれないので、解剖学的および組織学的な解析も行う。 2.生体内耳でセロトニン受容体3の作動薬・阻害剤を用いた薬理学的な検討:セロトニン受容体3の阻害薬は腸管領域ではすでに塩酸グラニセトロン(カイトリル)、オンダンセトロン(ゾフラン)などは臨床応用され優れた効果も実証されていているが、これらの薬剤は中枢移行性が低い。内耳のセロトニン受容体3に作用させるためには適切なデリバリーシステム(鼓室内投与など)の検討も必要になるであろう。これらのことを、適切な疾患モデルを作成してそれを用いて評価する。H24年度の実験結果により前庭神経節、らせん神経節にセロトニン受容体3遺伝子が発現していることが解った。つまりこのことから鼓室からのアプローチで内耳に薬物を作用させることは比較的容易である可能性はある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の繰り越し金を合わせて以下の使用計画を示す。 動物用平衡機能検査装置の整備、追加作成に20万円ほどの経費がかかると思われる。ノックアウトマウスを用いる実験であり系統維持が必要である。また疾患モデルの作成も必要であり実験用動物への経費は重要なため60万円ほどの経費がかかると思われる。また分子生物学的検討および薬理学検討のために薬品代が多くかかると予想され70万円ほどの経費がかかると思われる。(ガラス)器具は電気生理学的・解剖学的検討に当然必要で計20万円ほどの経費を予想しているが、必要最低限と認められる経費と思われる。その他、調査・研究旅費・研究成果投稿料代および論文別刷り代として計40万円の経費がかかると思われる。
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