2012 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性副鼻腔炎におけるロイコトリエン受容体変異と難治性に関する研究
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24791791
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大堀 純一郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90507162)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 好酸球 / 上皮 / VEGF / ロイコトリエン |
Research Abstract |
本研究は、好酸球の発現するロイコトリエン2型受容体(CysLT2R)に着目し、CysLT2Rの好酸球性副鼻腔炎への関与を明らかにすることを目的とした。当該年度の実地計画として、①鼻茸組織中のCysLT1RとCysLT2Rの発現の局在、②鼻茸由来上皮細胞におけるCysLT1R,CysLT2Rの発現、③鼻茸由来培養上皮細胞でのロイコトリエン刺激、VEGF刺激に対する培養細胞の応答、を計画していた。①に関して鼻茸組織中のCysLT1RとCysLT2Rの発現の局在を検討するために、鼻茸サンプルのCysLT1R、CysLT2Rの発現を免疫染色にて検討した。鼻茸に好酸球浸潤が多いサンプルの方が、CysLT2Rの発現が強かった。CysLT2Rの発現は、上皮細胞、好酸球ともに認めていた。このことは、好酸球性炎症にCysLT2Rが何らかの役割を担っていることが推測された。②に関しては、培養上皮細胞のRT-PCRにてCysLT1R、CysLT2Rを測定したが、上皮細胞には両者のmRNAの発現を認めなかった。③に関しては、鼻茸由来上皮細胞にVEGF刺激を加えると、VEGFRの発現が亢進し、VEGF産生が増強されることを明らかにした。VEGFは好酸球性副鼻腔炎患者の鼻汁中に多く含まれていることをこれまでに明らかにしており、VEGFの増加が好酸球性炎症の増悪因子として何らかの役割を果たしていることが推測された。好酸球性副鼻腔炎患者の鼻汁中のVEGF高値や、鼻茸中の高度な好酸球浸潤のメカニズムは未だ明らかにはなっていないが、VEGFのオートクライン効果を明らかにしたことで、いったんVEGFが産生されると、VEGF産生増強に働き、VEGFの作用としての好酸球遊走活性が、高度な好酸球浸潤を引き起こしている可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画では、鼻茸組織の免疫染色および、鼻茸由来上皮細胞の検討を予定していた。 上皮細胞の分離培養株におけるVEGFのオートクライン効果を明らかにして、学会発表をおこなった。おおむね順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、研究実地計画に記載した通り、上皮細胞から好酸球にターゲットを移し、さらに好酸球と上皮細胞の共培養におけるCysLT1RとCysLT2Rの役割について検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、消耗品および検査試薬に使用する。
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Research Products
(1 results)