2012 Fiscal Year Research-status Report
癌幹細胞と上皮間葉転換を誘導するシグナル伝達経路を標的とした頭頸部癌治療の研究
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24791806
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 陽一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40624440)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 癌転移 / 分子標的治療 / 頭頸部扁平上皮癌(HNSCC) / 癌幹細胞 / EMT(上皮-間葉移行) |
Research Abstract |
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)細胞株HSC4,SAS,SCC4 に対し上皮間葉移行(EMT)を誘導し、細胞形態の観察を行い、EMT指標となる因子の変化を確認すると共に、癌幹細胞マーカーの発現変化を調べた。発現亢進を示したマーカーにつきreal-time PCRによる定量的評価、Western Blotおよびimmunocytochemstryによるタンパクレベルの評価検討している。さらにEMTを誘導した結果癌幹細胞マーカーの発現亢進を示したHNSCC細胞を対象にMammosphere cultureおよびSphere formation assayを行い、癌幹細胞の形質を反映するsphere形成能を評価する事によりEMT誘導による癌幹細胞マーカー発現亢進細胞の機能評価した。 前述のHNSCC細胞株に対し、各々Hoechst33342 色素排泄法を用いてFACSによりSP細胞とMP細胞を分離抽出し、まず細胞形態差の観察を行った。続いて種々の癌幹細胞マーカーの発現差を確認すると共に、EMTの指標となる因子の発現を比較することによりSP細胞におけるEMT亢進を確認。EMT亢進を認めたSP細胞における細胞遊走能・浸潤能の評価をin vitro migration assayおよびin vitro invasion assay を行い、細胞遊走能および浸潤能を評価していく。 前述の結果を比較検討しHNSCCにおけるEMT誘導と癌幹細胞形質の相互関係を明らかにすることでEMTと癌幹細胞の形質獲得を同時に誘導する共通シグナル伝達経路の解明し、その共通項が浸潤、及び転移に対する新たな治療標的となる可能性を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・EMT誘導時のHNSCC細胞株における癌細胞マーカーの発現変化の評価に難渋した。 ・フローサイトメトリにてSP細胞を安定してsortingすることに時間がかかった。 上記2点と考えられる
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の結果を踏まえ、EMTを誘導するシグナル伝達経路についてreceptor antagonist, specific inhibitor, siRNA などを用いた阻害実験を行い、癌幹細胞マーカーの発現抑制を評価することでEMTと癌幹細胞の形質獲得を同時に誘導する共通シグナル伝達経路を解明する。さらに上記シグナル伝達経路を標的とした薬剤の効果の評価を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度未使用額発生は効率的な物品調達を行った結果であり、引き続き25年度の消耗品購入に充填する予定。 25年度においてはEMT誘導因子、阻害剤、各種薬剤の購入や、結果解析などの実験費用、機材購入などでの使用を計画している。
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